こんにちは。看護師長のはるです。
部署異動って突然言われるので、師長と面談の時はいつもドキドキします
看護師の人事異動って突然言われますよね。しかも、希望しているかどうかにかかわらず。
その部署で長く働いていた人が異動するのは、すごくストレスになると思います。
私は看護師長をするなかで、たくさんのスタッフの異動人事を決め、本人に告げてきました。そして異動でやってきたスタッフを受け入れて、病棟で関わってきました。
その多くの経験から、異動をストレスに感じてしまうひとに役立つ知識を身につけることができました。この記事では、それを紹介したいと思います。
記事の前半では、異動のメリットとデメリットについて説明し、組織が人材の部署異動をする理由を教えます。また、あなたが異動の対象にならないための裏技もこっそり教えます。
記事の後半では実際に移動が決まった時の準備や、異動先での行動のコツを教えます。
きちんと準備をして、コツを分かって異動をすれば、異動後の人間関係になじみやすいと思います。
ぜひ最後まで読んで、人事異動のストレスを乗り越えてください。
異動のメリット・デメリット
異動の目的は何だろう
看護師の異動は、何のためにしていると思いますか?
組織は何のために人を動かしているのでしょうか。
辞めた人数の補充じゃないの?
単純に退職で減った数だけ、どこかから来てもらうのでしょうか。でもそうなると異動スタッフを出した病棟だって、一人減るから補充が欲しいですよね。
そうやって数字だけで考えていると、人事は絶対に成り立ちません。じつは異動には目的が5つあります。
- マンパワーの調整
- 人間関係の調整
- 部署の雰囲気を変える
- スキルアップ
- 退職を回避する
人数(マンパワー)の調整だけではありません。人が長く同じ場所で働くと、業務に精通するのと並行して、どうしても人間関係への影響が大きくなります。
そういった人間関係の調整や、職場の雰囲気を変えるためでもあるのです。
さらに患者さんというのは、単純な一つの病気だけで体調を崩すわけではありません。
糖尿病や高血圧の治療中の人が骨折したり、脳血管疾患後の後遺症のある人が盲腸の手術を受けたり。様々な病気を抱えながら生きている方が入院してきます。
そういったさまざな病気の知識を持っていたり、技術を身につけている人は、必ず複数の部署での勤務経験があるのです。
内科や外科、手術室や外来など、複数の部署経験がある看護師はその分対応できる疾患の範囲も広くなります。ベテラン看護師になっていくためにも、複数の部署で専門的な経験を積む必要があるのです。
異動のメリットとデメリット
異動の目的は分かりましたが、それでも異動はストレスだと感じてしまう人はいるでしょう。
ここからは異動のメリットとデメリットを紹介します。異動についてきちんと知り、デメリットへの対処をきちんと行うことで、少しでも不安を和らげましょう。
まずはメリットです。
- 知識が増える
- 人脈が広がる
- 新しい技術が身につく
- 視野がひろがる
- 柔軟性が身につく
新しい部署へ異動した後でも、元の部署とのやり取りは続きます。そういったときに前の部署に知り合いがいるあなたの存在は、とても頼りにされるでしょう。
人脈というのは、簡単に広がるものではありません。異動で一緒に働く仲間が増えることは、あなたの仕事をやりやすくしてくれる、とても大きなメリットです。
次にデメリットです。
- 人間関係を一から作る必要がある
- 業務内容に慣れないストレス
- いまのスキルが活かせないこともある
- 希望通りに異動できないこともある
やはり環境や人間関係に慣れていない場所にいくのは、不安が大きいと思います。特に人見知りの人など、コミュニケーション能力に自信ない人だと最初は疲れてしまうでしょう。
また元の病棟では人を指導する立場だった人も、最初は教えてもらう立場に変わります。そういう変化で自信を失う人もいます。
異動したばかりの頃は、年下からも教えてもらう必要があることや、打ち解けるまで少し居心地悪いのは仕方がないことだと理解しておきましょう。
異動の対象にならない裏ワザ
同じ部署で3年以上が経過すると、基本的には全員が異動対象です。そして人事異動は業務命令なので、断ることはできません。
しかし、人事異動を決める際に師長から候補者のリストを出しますが、そのリストに加えにくい人材もいます。師長から「この子は異動させられない」と思われれば、異動候補者のリストに載らないのです。
では、「異動させられない」と師長が思うのはどんなスタッフか、5つの条件を教えます。
- プリセプターや研究などを取組み中
- 特別な業務をしている(資格の保有)
- 同年代が1人しかいない
- 退職予定がある
- 異動になるなら退職すると伝えておく
これらのスタッフは、私の部署では異動対象者からはずしています。
ただし最後の「異動になるなら退職」のパターンでは、あなたがよほど優秀で、辞められたくないと師長が思っている場合にのみ有効です。
「辞めるなら仕方ない。このまま同じ部署にずっといても成長しないな」と思ったら、異動にします。どうしても異動を避けたい場合には、この5つの方法を試してみてください。
更に詳しい内容は>>【看護師】異動のメリット・デメリット|異動を避ける方法を教えます!の記事で紹介していますので、気になる方は参考にしてください。
異動の準備、早く馴染むコツ
ここからは、実際に異動が決まった時にするべき4つの準備と、新しい部署に早く馴染むコツを教えます。
異動で入ってくるスタッフを見ると、スムーズに溶け込む人と、なかなかなじめない人がいることに気付きます。
馴染めなくて居心地が悪そうだな…
心構えや準備をせずに異動をすると、新しいところになかなか馴染めなくて、居心地の悪い期間が延びてしまいます。
異動にはたくさんのメリットもあるので、ぜひ早く馴染んで、新しい技術や知識の習得に励んでもらいたいです。
異動前に必要な4つの準備
異動が決まったら、準備を始めましょう。
やるべき準備は次の4つです。
- 新しい部署への挨拶
- 仕事の引き継ぎ
- いまの部署への挨拶
- 勉強と必要な物の購入
新しい部署への挨拶は、相手の都合を確認してから行きましょう。
まずは師長に挨拶をして、その場にいるスタッフにも自己紹介をしておきましょう。明るい笑顔と、ハキハキした話し方が好感を持ってもらえるコツです。
その部署で多い疾患や、特に勉強しておいた方がいいことがないか、尋ねてみましょう。その部署特有で必要になる物品なども聞いておいて、必要なら事前に購入しておくと良いでしょう。
早く馴染むコツ
色々な準備を進めながら、自分の気持ちを異動に向けていきましょう。結局は、新しいところに前向きな気持ちと態度で入っていくことが、一番の準備になります。
「イヤそうな態度」や「希望じゃないです」という態度が見えると、受け入れる方は気分を害します。自分たちのところを否定されると、怒ってしまうのは当然ですよね。
特に人見知りの人や、コミュニケーションが苦手な人は、挨拶の時に笑顔がでなかったり下を向いてしまうので、不機嫌そうに見えたり、嫌そうに見えてしまいます。
演技で良いので笑顔を見せて、「人見知りなのですぐうつむいてしまいますが、ここでいろいろ学ばせてもらうつもりです。皆さんと一緒に働けるのを楽しみにしています」と言葉で伝えると良いでしょう。
まずは自分から好意的な態度を示して、仲間に入ってきましょう。
早く馴染むコツは、以下の4つです。
- 異動を前向きに受け止める
- 明るくハキハキとした受け答え
- 出来ることは積極的に
- キーパーソンと仲良くなる
新しいところでは物の場所が違ったり、小さなルールが違ったり、戸惑うことも多いと思います。
まずはやり方を習う態度で、謙虚な姿勢を忘れないようにしましょう。もしかしたら年下のスタッフから教えてもらうこともあるかもしれませんが、分からないことは素直に受け止めましょう。
しかし部署が変わっても同じ組織です。基本的な技術に使用する物品は同じだし、手順も同じです。
出来る業務は積極的に「これは前の部署でもやっていたのでできます」と伝えましょう。フォローするスタッフを他の業務に回せるので、ありがたいと思ってもらえるはずです。
あなた自身も一人でできる業務があった方が自信を失わずに、落ち着いて取り組めるはずです。遠慮せず、経験があることは積極的に伝えましょう。
あとは部署での立場を安定させるコツとして、その部署のキーパーソンと親しくなることです。
数日見ていれば、その部署で発言権を持っていたり、雰囲気を決めているのが誰なのかがわかると思います。そのキーパーソンとなっている人物と早めにコミュニケーションをとり、認識してもらいましょう。
敵対せず、打ち解けることができれば、一気に職場の居心地がよくなるはずです。
異動の準備や部署になじむコツについてもっと詳しく知りたい方は>>【看護師長が教える】異動の準備と、はやく馴染むコツの記事に詳しく書いているので、参考にしてみてください。
まとめ
この記事では、看護師の異動にに伴うストレスへの対応ついて解説しました。
慣れた環境から異動するのはストレスがかかります。できれば異動したくないと思ってしまうでしょう。
しかし私は師長の立場から見ていると、できれば3~5年目の頃には部署を異動した方がいいと思っています。
特に期待しているスタッフには、その時期に積極的に異動をさせます。
視野がひろがること、知識や技術が倍増すること、環境の変化への柔軟性が身につくこと、そして周りのスタッフに優しくなれること。
これらの変化は、異動でしか得られない経験だと思います。
同じ部署に10年以上いるスタッフとも働いたことがありますが、知識が偏っていて、発想の柔軟性が乏しいところがあるのがもったいないと感じました。
そこから異動で部署を変わりましたが、かなりのベテランとして異動するため異動先で充分なフォローが受けられないし、本人のプライドもあって謙虚になりにくく、異動先になじむのに苦労していました。
部署異動はストレスだと思いますが、プラス面にも目を向け、ぜひ前向きに受け止めて頑張ってほしいと思います。
この記事が、異動に不安を抱える人の背中を押せると良いなと思います。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。