● 教えたことを理解したのか、反応が分からない
● 何を考えているか分からなくて関わりにくい
● イライラするから新人と関わりたくない
こんにちは、はるです。
今回は、新人指導にイライラしてしまう指導者さんに向けた記事です!
イライラしなくなるコツを紹介しますね!
新人指導が負担だと感じている人は多いんじゃないでしょうか。いつもどおりの仕事にプラスして指導をするのは大変だし、新人によっては教えたことをすぐに忘れてしまう子もいます。
この記事では新人指導でイライラしてしまう指導者のあなたへ、イライラしなくなるコツを6つ教えます!
指導でイライラしていると、自分の仕事のパフォーマンスも落ちてしまいます。イライラを解消して、気持ちよく仕事ができるように変えましょう。
仕事中にイライラすることが減れば、仕事のストレスも軽くなります!ぜひ明日からすぐに活用してみてください。
看護師の仕事は感情のコントロールが求められる場面が多いですよね。>>看護師は女優?!|感情をコントロールしてストレスのない働き方を!の記事でも詳しく解説しているので、興味があればそちらもさんこうにしてみてください。
そもそも新人指導は、なんでイライラしてしまう?
師長さん、私いつもイライラしてるんですけど。
新人指導ってなんでイライラしちゃうんでしょう?
そもそも、新人指導はなんでイライラしてしまうのか?
まずはそこから考えてみましょう!
新人への期待
イライラするのは、相手への期待が裏切られたと感じるからよ!
人は誰でも、何か行動を起こすときには結果を見越しています。
付き合いたての彼氏に『私、来週が誕生日なんだけど会議で残業なんだよね~。最悪だよね~』と話すときは、グチのように見せながらもプレゼントを期待してますよね?
これで『ふーん』で会話が終わって当日まで連絡なしだったら、きっと大喧嘩になるでしょう。
人は『たぶん、こういう反応があるだろう』と予想しているときに、それと大きく違う反応が来ると『なんでそうなるの?』とイライラしてしまうのです。
新人の指導でも同じです。先輩は教えながら、「きっとこのくらいの反応があるはず」と考えているのです。
- 自分なら何か工夫しようって思うけどな
- ふつうは調べてくるはずなのに
- 1回怒られたことを繰り返すなんて
- 習ったことをメモするのは当然
こういう風に『新人は当然こうあるべき』という期待が、先輩の方にあるんだと思います。
それを裏切られるので驚き、イライラしてしまうのです。
『えぇっ?! 調べてきてないの? 今日は処置があるって言ってたのに…』
(当然、調べてくると思ったのに。何で調べないの? 不安じゃないの? 言わないと調べないの? 考えないの?)
モヤモヤ、イライラ・・・
新人指導でイライラしてしまう原因は、期待を裏切られたと感じているためなんですよ
指導しながらイライラしていることに気付いたときは、目の前の新人に何かを期待をしているのだということです。
確かに。言われてみると『ふつうはこのくらい出来て当然』という気持ちがあるかも…
もちろん、相手に期待しないなんて無理ですよね。一生懸命教えているんだから、一生懸命に努力してくれて当然だと思ってしまうのも無理はありません。
自分が高すぎる期待をしていないか、新人の性格や個性に合ったレベルの期待だったのかは、ときどき振り返るようにするといいでしょう。
教える技術の不足
看護師として仕事ができるからといって、指導者としても優れているとは限りません。
3年目になったら急に指導の担当になっちゃった
指導って、何をすればいいんだろう…?
教育方法については自己学習に任せられているのが現状で、先輩によってはマニュアル通りのことを説明して、指導したつもりになっている人も見かけます。
人を育てる方法について学ぶ機会がないまま指導者をしているので、うまく伝わらなかったり、思うように新人が育たないことでイライラしてしまいます。
自分が知っていることなら、人に教えるのは簡単だと思ってしまいますが、やってみると上手く伝わらなかったり教えられないということがあります。
人を指導するためには、教えるための技術が必要なんです。
「教え方」を勉強しましょう!
後輩を指導するときに参考になる本を紹介します。後輩指導に悩んでいる人は、本を読んで勉強してみてください。
もともとの業務との両立が難しい
普段から余裕がない量の業務をしている中で、新人指導の業務を担当するのは大変です。
委員会業務や看護研究もあるのに、新人のプリセプターまでやるのは無理です!
こんな風に、業務があなたに集中しているような場合は、師長に相談して業務分担を見直してもらいましょう。
たとえば、プリセプターをする代わりに委員会は仕事量の少ない委員会にしてもらうとか、率先して活動してくれる先輩の補佐的な役割だけにしてもらうとか。何か工夫ができるはずです。
それでも、日々の指導では部屋持ち業務をしながら新人のフォローもするのですから、大変なのは変わりません。
いつも指導をしてくれてありがとう
お疲れさま!
しかし、新人指導はその病棟で毎年行っている業務です。先輩たちはみんなが同じ状況を経験しているはずですよね。
去年まではどんなふうに指導と業務を両立させていたのかを、リーダーさんや主任さんに話を聞いてみましょう。
思いがけないアドバイスが受けられるかもしれませんよ。
新人指導のゴールが分からない
どこまで出来るようになったらいいのか、ゴールが分かりません
新人指導をお願いしているスタッフから、こんな相談をされることがあります。
何となく目の前の仕事のやり方を教えていて、スムーズに日勤業務ができるようになれば良いような指導をしていませんか?
客観的に判断できるようなゴール設定をしておかないと、何をどこまで教えたらいいのか分からず、先が見えない迷路に迷い込んだような気持ちになります。
技術チェックリストや教育年間計画などで、大まかなゴールは示されていますよ!
病院の教育委員会から、新人教育プログラムが配られていませんか? 技術チェックリストなら、『何月までにどこまで』と目安が書かれています。
それらの計画をもとに、プリセプターさんと新人さんとで、新人さんの個性を踏まえた毎月の目標を決めましょう。
まずは1年間の目標を考える。そして、夜勤前までの半年間の目標、その半分の3ヶ月の目標、そして今月の目標という順番で、だんだん範囲を小さくしていけば目標が具体的に立てられます。
今週の目標や、今日の目標まで小さくして、毎日それを達成できるように行動計画を考えましょう。
ゴール設定が明確になれば、指導が順調なのか遅れているのかがはっきり分かるようになりますよ!
「泣かせるな、退職させるな」の圧力
いまは看護協会を中心に、新人看護師の離職防止に対する取り組みが活発です。
就職説明会などで、卒業見込みの学生が病院を選ぶ際に『新人離職率はどのくらいですか?』と質問してくることも増えました。
新人が辞めずに働き続けられる環境かどうかが病院の評価になり、その病棟の(師長の)評価になっています。
新人さんを泣かせないで!
辞めちゃったらどうするのよ!
そのため師長や教育委員さんは、新人を泣かせるような指導をしないよう、先輩看護師に求めてきます。
もう一つの理由として、経済的な理由もあります。人材を確保するには経費が掛かるのです。中途採用者を紹介会社から1人雇うのに、100万円近い経費が掛かる場合もあります。
退職率が高いとそれだけ補充の採用が必要になり、病院の経営を圧迫してしまうのです。
さらに怖いのは、ハラスメントの問題です。
先輩からこんなことを言われました
つらくて眠れません
これってパワハラじゃないですか?
厳しい指導を受けた後輩が精神的にダメージを受けた場合、ハラスメントと言われる恐れもあります。
これらの理由から、新人指導をする先輩には『新人を辞めさせないこと!』という圧力があるのではないでしょうか。
一人前に育てるためには、間違ったことをしていたら怒らないといけないし、怠けていたら叱る場面もあるでしょう。
必要な指導をする中でも、新人さんが傷つかないようにフォローして、残業にならないように仕事を引き受けて早く帰らせて、先輩の負担は増えるばかりです。
指導する私たちの精神的なフォローも考えてほしい!と先輩がイライラしてしまうのも、当然です。
上司の気持ちが『新人の離職防止』にばかり向いていると感じたら、まずは相談してみましょう。指導の負担で自分たちも疲弊しそうだ、離職防止と指導を両立させる方法に悩んでいるということを伝えてみてください。
実際に業務を支えてくれているあなた方を蔑ろにはしないはずです。かならず相談に乗ってくれますよ!
新人指導でイライラしてしまう場面
実際の現場で、先輩たちはどんな場面でイライラしてしまうのかをまとめました。
何度も同じことを教える
分からないです
習ってないです
看護師の新人指導の場合、現場で実際に指導をするのは毎日ちがう先輩が日替わりで教えることも多いですよね。
そういう時に多いのが「これは分かる?」「このやり方は習った?」と、新人本人に確認する場面です。
「習ってない」と言われて手順を丁寧に教えていたけど、実際は数日前に教えてもらっていたということがあります。
この前も説明したよね?
覚えてないの?
こういう場面を、よく見かけます。
教えてもらった新人さんは、覚えていないのか、先日習ったのとは違う作業だと思ったのか、「知ってます」と言ったら自分でやらされそうで怖かったのか。理由は分かりませんが、新人さんは簡単に「知りません」と言ってしまうのです。
教えている先輩にしてみれば、「メモを取らないから忘れるんだ」「習ったことを忘れないでよ」と、イライラしてしまうのは当然ですね。
教える時には必ずメモを取らせることと、出来れば指導者側で教えたことを共有しましょう。技術チェックリストを活用して、「見学」「実施1回目」「実施2回目」などをチェックしていくのです。
1回説明を受けただけで覚えられないのは仕方がないので、3回目までは怒らずに教えてあげることも、説明しておきましょう。
言い訳をされる
新人なので、出来なかったり分からなかったりするのは当然です。
しかしそれを指摘した時に言い訳をされると、イライラしてしまいますよね。
私は病棟師長をしていますが、患者への言葉遣いが目に余った新人を呼んで指導をした時、「でもA先輩もこんなことを言ってましたよ」と言われて、ちょっとイラっとしてしまいました。
新人が間違えた自己判断で動いてしまうと事故になる恐れもあるので、先輩は厳しく指導をします。その時に、謝罪や反省よりも先に「でも・・・」と言い訳をされると、イライラするし指導するのが嫌になってしまいます。
言い訳をする新人には、『言い訳をしていること』を自覚してもらうことからはじめましょう。
私が関わった新人の場合、話を聞くと、言い訳をしている自覚がありませんでした。
言い訳じゃありません。
間違えてしまった理由を説明したいんです
間違えていることを指摘された時に、その理由を聞いてほしくて説明をしているということでした。間違えていたことが結果なので、理由は関係ないのですが、本人にとってはなぜ間違えたのかを知ってもらいたい気持ちが強かったようです。
本人に、理由を説明することが言い訳をしていると受け取られていることを説明し、まずは間違えたことを反省する態度を示すように指導をしました。
仕事ができない、遅い
テキパキと動けない、ゆっくり考えながらしか動けない人は、先輩をイライラさせてしまいます。
初めてやる処置や不慣れな事なら、時間がかかっても仕方ありません。
しかし、もう何度も経験しているようなことでも、一つ一つの動作に時間がかかってしまうのです。
えーっと、手順をもう一度確認してからやろうかな
立ち止まって考えるばかりで、ぜんぜん進んでない!
時間がないんだからテキパキやってよ
情報収集に時間がかかる、点滴や内服の確認も慎重でゆっくり確認する、だけど見落としや確認ミスがある。
そういう働き方の新人を見ていると、忙しい先輩はイライラしてしまいます。
改善しようと努力している姿がみられると良いのですが、それが見られないと「この新人は仕事ができない!」と判断されてしまいます。
指示がないと動けない
最初は誰でも、指示されないと動けないのは当然です。
しかし数カ月たってくると「これのあとは、こっちをするんだな」とか、「この時間までにこれを準備しておくといいな」など、自分で考えて動けるようになるものです。
今なにをしているの?
なぜここに立ってるの?
頼まれた仕事が終わったので、次の指示を待っています
こういう新人さんだと、指導する側は本当に困りますよね。こういう新人がフリー業務の時など、細かく指示ができないから仕事が進まず、全体の業務が遅れてしまうことになります。
こういう新人さんの場合、自己判断していい部分と先輩に相談すべき部分が判断できないので、その点でも注意が必要になります。
確認不足でのミスが多い
小さなミスや、同じミスを繰り返す新人さんも、先輩をイライラさせてしまいます。
日付を確認しなかったの?
忙しかったから確認できませんでした
ミスの中でも単なる『確認不足』のミスは、自分の不注意や怠慢である場合も多いので、繰り返している新人は要注意です。
確認不足のミスは防ごうと思えば防げるので、それを繰り返すということは仕事への責任感がないか、ミスを軽く考えているということです。
記録の誤字脱字や、印刷部数のミス、データの入力漏れなど、確認すれば防げるミスを繰り返している新人には、一度きちんとした指導をしましょう。いずれ患者に影響する大きなミスへつながる危険があります。
一般常識がない
あいさつができない
態度が悪い
提出期限を守らない
片付けができない
こういう一般常識に欠けた態度の新人さんは、職場で嫌われてしまいます。
会議日程を忘れていて、大事な会議に穴をあけてしまったあとでも、ヘラヘラ笑いながら「すみませんでした~」と謝るだけだったり。
そういう非常識な態度だと、社会人マナーに反するので『仕事ができない人だな』と判断されますし、上司や先輩をイライラさせてしまうのです。
患者さんからのクレームにもつながりかねないので、上司からきちんと指導をしてもらい、早めに改善させましょう。
考えずにすぐ質問する
これって、どうやるんでしたっけ?
こうやるのよ
この前メモしてたけど、メモはどうしたの?
少し考えたり、確認すればわかるようなことを、なんでも簡単に質問してくる新人がいます。
『調べるより、聞いた方が早いし確実』だと思っているのでしょう。こういう態度は、先輩をイライラさせてしまいます。
しかしそれでは成長しませんし、なにより先輩の貴重な時間を奪っているという自覚がないことも問題です。
どうすると思う?
自分で調べた?
私に聞いてきた場合はこのように返して、次からは自分で調べるように促していますが、忙しい先輩たちだと教えてしまった方が早いかもしれません。
余裕がある時には自分で考えるように促して、その後で正解を教えてあげるような指導をしましょう。
分かってないのに分かったふりをする
これも仕事ができないタイプの新人さんに多いのですが、指示された内容がよく分かっていないのに、その場で聞き返さずに「分かりました」と答えてしまう人がいます。
そのままやらせていると、途中で「あれ、分かってないよね?」と発覚します。
その場で聞いてくれればいいのですが、分かってないと思われたくないのか、分かってない自覚がないのか、そのまま自分なりの解釈でやりはじめてしまうのです。
結局はやり直すことになるので余計に手間がかかってしまい、先輩はイライラしてしまいます。
対策としては、指示した内容を自分の言葉で復唱させたりして、本当に理解したかを確認する必要があります。
指導を受けると不機嫌になる
アドバイスを素直に受け入れられない新人さんにも、イライラしてしまいますよね。
「こうした方がやりやすいと思うよ」とアドバイスをしても、「こっちの方が慣れてるんで」と言ってプイっとした態度をとられることがあります。
このやり方で慣れてるので、このままでいいです
その態度はなんなの?
もう二度とアドバイスしないから!
試してみもしないで拒否するその態度では、成長できませんよね。
こういう態度の新人さんは、なかなか素直にアドバイスを受け入れられません。とりあえず間違えたことをしないかだけチェックして、あとは自分の方法でさせるしかないでしょう。
新人指導でイライラしないコツ
では具体的に、新人指導でイライラしないためのコツ6つを、説明しますね。
1.何のために指導をするのか、考え方を切り替えよう!
これは、指導する先輩に考え方を切り替えてもらいたいという話です。
指導はいつもどおりの仕事をしながらの追加業務ですし、「なんで私が指導までしないといけないの」と思う人もいるでしょう。
『自分の作業に集中したいし、技術を後世に残すつもりはない。弟子はとらない!』という芸術家のような考えをしていませんか?
もしくは『命を預かる仕事が厳しいのは当然!指導についてこられずに泣く奴は辞めてもらって結構だ!』と自衛隊の鬼教官のような考えをしている人はいないでしょうか?
こういう風に考えているのなら、あなたは新人指導の目的を誤解しています。
新人を指導するのは、『一人前の技術者になるまで育てあげて独立させる』ためではないし、『職場の業績をアップさせる』ためでもありません。
新人指導をするのは、あなたの仕事がラクになるためです!!
この新人が成長すれば、あなたの仕事を任せられるようになるし、全体の仕事量も分散して楽になるし、残業も減るのよ
そう考えると、そうですね。
私の仕事量を減らすためか…
自分にメリットがあるから、新人指導を頑張っているんだということ。このことを、覚えておきましょう。
目の前の新人が少しでも仕事を覚えれば、あなたの負担は確実に減ります。
自分の仕事の負担を減らすために、この新人に仕事を覚えてもらう!という意識を持ちましょう。
自分の仕事を楽にするために新人を育てていると思えると、新人が何か一つ成功するごとに一緒に喜べますし、覚えが悪くても何とか覚えてもらおうと工夫する気持ちが持てます。
『あれ、この教え方でもダメだった?でもこれが出来るようになったら任せられてラクだから覚えさせたいな~。じゃあ今度はもっとゆっくり教えるか』
まるで難易度の高いゲームを攻略するときのように、どんな工夫をすれば出来るようになるかを考えながら、一つずつできることを増やしていきましょう。
この気持ちの切り替えは、イライラ予防にとても効果のある方法なので、ぜひ試してみてください。
2.自分とは違う人間なので、常識も価値観も違うと諦める!
あの新人さん、すごく変わってますよね!
常識を知らないんですよ!
先輩から『非常識だ』と言われたり、『ちょっと変わった子だ』といわれる新人さんは、毎年います。
そもそもみんな個性があるので、『普通の子』と『変わった子』という分け方が出来るものではないですよね。こういう場合に先輩が言う『変わった子』というのは、協調性がない子や空気を読めない子が多いです。
どんな内容であっても、『これは常識でしょう?』という言葉では解決できません。みんなが違う家庭環境で育った人たちが集まる職場なので、あなたにとっての常識が必ず正しいとは限らないのです。
あなたにとって子供のころから躾けられてきた常識的なことも、家庭が変われば常識も変わります。
常識がない!とイライラしても解決しません。
人によって常識が違うことを受け入れましょう!
たとえばわたしは、以下のような経験があります。
- 新人研修の期間中に、机にうつぶせて眠っていた
- はじめての欠勤の連絡をLINEで師長に送ってきた
- 注意をしたら「あ、ごめんなさーい」と謝る
- さっきの処置を説明しようかと誘ったら「早く帰りたいので」と断られた
ええーっ!!
こんな看護師がいるんですか?
実際に経験したのよ
私も驚いたけど、いろんな人がいるのよね
しかし新人は、悪気があって(私を怒らせようと思って)やっているわけではありません。何が悪いか分かっていない、社会人のルールを知らないのです。
そのため、新人1年生の時は、大人の世界のルールを教えることも師長や先輩の役割なのだと思うことにしました。
こういうことを学ぶ機会がなかったんだな
いつか恥をかく前に教えてあげよう
そう思うと、腹が立たずにすみます。
「自分は常識だと思っていたが、そうではなかった。世界は広いなぁ」と捉えてください。
自分にとって珍しいことに出会ったわけですから、面白いと思えるはずです。そして新人に「これは社会の常識だから、知らないと恥ずかしい思いをするよ。覚えておいてね」と教えてあげましょう。
3.怒った分のエネルギーがもったいない!
指導をしても伝わらなかったり、同じミスを繰り返されると、つい怒ってしまいますよね。しかし、先輩が怒っても後輩には何の効果もありません。
逆に先輩を怖がるようになって相談しなくなったり、委縮して説明内容が頭に入らなくなって指導効果が下がるだけです。
怒っても指導効果がでないのなら、怒るエネルギーがもったいないですよね。
ムカッとなったときに、心の中で『怒っても無駄だ、自分が損をする』と思い出してください。
怒ってしまうと自分も落ち込みます
特に泣かれると、自分が悪者に感じます
せっかく熱心に指導してくれても、怒ってばかりの先輩を好きになる後輩はいないのよね。嫌われ役になってしまうかも…
熱心に指導をしているのに新人には「怖い人」というレッテルを貼られてしまいます。上司からも「新人をいじめるな」と指導を受けることもあるでしょう。
怒ってしまうと、損をするのは自分なんです。
『アンガーマネジメント』
アンガーマネジメントって聞いたことありますか? イライラや怒りの感情をコントロールするための方法です。
これはいろんな研修もやっているし、本もたくさんあるので、知っている人もいると思います。
怒りの衝動は、最初の数秒間がピークだということです。まずは自分が腹が立ったことに気付いたら、6秒間だけ感情を我慢します。
この6秒間というのは、怒りで体内に分泌されたアドレナリンが、からだ中を駆け巡るのにかかる時間らしいです。
この最初の6秒間を乗り切れば、怒りやイライラの感情はピークを越えているので、自分でコントロールしやすくなるんだそうです。
私は普段からあまり怒らない性格ですが、イラっとしてしまった時にはそのままその場を離れて、休憩室で一口お茶を飲むようにしています。
外の景色を見て深呼吸したり、お茶を一口飲んだりして、気持ちを静めましょう。
そうすると少し落ち着いて話を再開することができるはずです。指導を淡々と再開しましょう。
イライラしやすい人は、アンガーマネジメントを少し勉強してみることをおすすめします!
心のコントロールが出来るようになると、きっと気持ちがラクになりますよ!
自分がイライラしやすい、怒りっぽい、後輩から怖がられていると感じている人には、とても役立つスキルです。
おすすめ本を紹介しておきます。ほかにもたくさん本が出ているし、研修もあります。少し勉強してみるだけでも気持ちが変わると思うので、ぜひ読んでみてください。
4.「こんなことまで?」←仕事に必要なことは全て教えるしかないんです!
新人さんが、教えてもらってもお礼を言わないんです。
そんなことまで教えないといけないんですか?
「こんなことまで教えるんですか?」というのも、先輩からよく聞くセリフです。
◇仕事のやり方を教えていたが、その説明で使う道具の使い方から説明することになった
◇挨拶や片付け、ちょっとした言葉遣いなど、大人としてのマナーまで教える必要があった
いったいどこまで指導すればいいのかと、途方に暮れてしまうのも分かります。
【以前わたしはこんな経験をして驚いたことがあります】
新人がホワイトボードに油性ペンで書いていたので「それは油性ペンだよ」と声を掛けました。
しかし新人はキョトン顔。
ペンを間違えていることを伝えたかったのですが、うまく伝わりません。
その新人看護師さんは、ペンに油性や水性、ホワイトボード用などの種類があること自体を知らなかったのです。
「こんなことまで知っているかどうかを確かめないといけないのか」と驚きました。
何をどこまで教えるか、という決まりはありません。
とにかくその新人が知らないことで、仕事に必要な知識は全て、教える必要があるということです。
ほかにこんな経験も・・・
◇欠勤の連絡を師長あてにLINEで送ってきたので、職場に電話するように教えた
◇出勤時にステーションに入る時に挨拶をするよう教えた
◇質問に答えるとそのまま無言で立ち去ったので、教えてもらったお礼を言うよう教えた
◇電話対応時、ガチャンと受話器を置かないこと、相手が切ってから受話器を置くことを教えた
こういう内容は、業務上の指導ではなくて、生活上の指導ですよね。大人になって職場の上司から習うような内容なのか?という思いはありますが。
正直に言って、学校や家庭で教えておいてよって思ってしまいます
今さらそれを言っても仕方ないわ。
知らないのなら教えるしかないよね!
職場で指導する内容がどこまでか、決めることはできません。とことん!必要なことは全部、覚えてもらいましょう。
5.同じ土俵に立たない! 先輩であることを思い出して余裕をもった大人な対応を!
教えてるときに、聞く態度が悪いんですよね
それを見るとイライラしちゃうんです
ミスを指摘するとむくれたり、指導を受ける新人の態度が悪いと、指導している先輩はイライラしますよね。
プイっと顔を背けたり、話を聞いてなかったり。そういう態度をとられたとき、カーっとなって「その態度は何なの?!」と言いたくなるでしょう。
しかし、ここで感情的に怒らないようにしましょう。
先輩が感情的になったら負けです
指導を受けている新人が、指導者の先輩に対して失礼な態度を取っているという状況は、新人側に落ち度があります。
反省すべきは新人であり、先輩に非はありません。
ただしこの場面で先輩が感情的に怒鳴ってしまうと、先輩側にも反省すべき点が出来てしまいます。
あくまで先輩は、冷静に落ち着いて、穏やかに指導をしてください。
その先輩の余裕のある大人な態度こそが、大きなポイントなのです。
先輩に対して態度が悪い時、そのまま黙っていると「なめられる」と思うかもしれません。
しかし、そんなことはありません。
組織全体から見ると、新人は仕事も半人前でまだあまり役に立たない人材です。対してあなたは、仕事ができて組織に貢献している大切な人材です。
あなたの方が下に見られる、なめられるということは、その組織であなたが活躍している限り、絶対にありません。
そのことを思い出して、大人の余裕で見守ってあげてください。
決して同じ土俵に下りて、なめられないように大声で怒鳴ったり、叱ったりしてはいけません。
一歩も二歩も引いて、「困った子だな。できなくて困るのは自分なのに」と思いましょう。
お互いに感情的になってしまうと、新人は『怒られた』『いじめられた』と受け止めてしまいます。そうなると先輩が不利になりますよ!
6.抱え込まずに情報共有! 上司はあなたの味方だと思い出して!
指導が上手くいかない…
どうしたらいいんだろう…
師長や主任に相談して!
一人で頑張る必要はないのよ!
◇人より成長が遅い
◇やる気がない
◇態度が悪い
◇言ったことを守らない
そういう新人の指導について、独りで悩む必要はありません。どんどん上司に報告をしましょう。
できるだけ具体的なエピソードを記録し、どういう指導をしてどんな結果だったかをまとめておきましょう。
どれだけ指導をしても、フォローもしていても、成長が遅い新人はいます。
そのことに、独りで責任を感じる必要はありません。
やるべきことをやっていて、そのことをきちんと確認できれば、上司は公平に判断してくれます。
私のやり方が悪いと思われる?
私の評価が下がるんじゃないかな?
どのような指導をしたか、その結果どうなったか
具体的なエピソードを集めて報告するといいですよ!
かならず正しく評価をしてくれます!
難しい新人を相手にするときには、上司にこまめに相談をしてアドバイスを受けましょう。そのうえで結果を報告し、本当に教育が難しい新人であることを、上司と共有しましょう。
そうすることで上司と責任を分散することができます。
自分のところの師長と考えが合わなかったり、困っていても助けてくれない上司だったりする場合があるかもしれません。
それでも、新人が何かトラブルを起こしたり成長の遅さが問題になった時、教育担当の別の師長や看護部長に状況を訴える機会があるはずです。
その時に『前から師長には報告をしていた、記録も残している』と報告することができれば、あなたが責められることはないはずです。
自分の身を守るためにも、指導の記録を残すことと、上司に細かく報告を入れておくことが大切ですよ。
番外編:上司から見た新人指導の目的は?
ちょっと、番外編ですが。
上司から見た新人指導の、本当の目的とは何でしょうか。
新人が早く仕事を覚えて、部署の業績アップ?
退職者の穴を埋めて業務に支障が出ないようにする?
いえいえ。違います。
実は上司は、新人の成長を期待して新人指導をさせているわけじゃありません。
指導係をするあなたの成長を期待していて、あなたの指導のやり方を見ているんです。
新人は、現場に入れば仕事についていくために必死に努力をしますし、知らないことばかりなので、何を見聞きしても勉強になります。
そんな環境にいれば、放っておいても必ず成長するんです。
それよりも、すでに一通り仕事を覚えたあなたを、さらに一回り成長させるために、新人指導という課題を与えているのです。
上司は、あなたが新人とどのように関わっているか、新人から信頼されているか、アイデアを出して積極的に指導しているかなどを観察して、あなたを評価しています。
新人に配慮しながら仕事できているかな?
こまめに声をかけてフォローしているかな?
新人の評価じゃなくて、指導する私が評価されていたんですか?!
その評価をもとにボーナスの査定をしたり、クリニカルラダーのステップ評価をしたり、今後あなたに任せる役割を考えたりしています。
人事異動を考えるのにも参考にしていますよ。
上司がどういう視点で見ているかを知っていると、働き方も変わりますよね。ぜひ知っておいてくださいね!
まとめ
今回は、新人指導にイライラする先輩看護師に、イライラしないコツを6つ説明しました。
新人指導は、自分のためでもあることを忘れずに取り組みましょう。
相手は未熟な後輩です。相手の態度が悪かったり失礼な言動があっても、一緒になって怒らずに、大人の余裕でかわしてあげてくださいね。
もしも自分がイライラしやすい性格だと思ったら、ぜひアンガーマネジメントについて勉強してみてください。きっとあなたの心を軽くしてくれますよ。
新人看護師が職場になじむために「今年こそ新人を辞めさせない! 今すぐできる、新人の居場所づくり」の記事も役立つはずですので、参考にしてください。
新人指導を任されて、毎日つらい思いをしている先輩の助けになればと思っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
この他にも、ミスを起こしてしまったときや、同期と比べられてツラい時、怖い先輩がいる時など、仕事がツラいと思った時の対処法をまとめています>>【看護師の悩み】仕事がつらいと思った時に読んでほしい
参考にしてみてください。