● ちょっとしたミスや失敗、人の意見に落ち込みやすくてツラい
● 些細な事でもイライラや怒りを感じて、表情や態度に出てしまう
● 不安や恐れでいつも自分の力が発揮できない
こんにちは、はるです。
私は地方病院で看護師長をしています。
今回は、看護師に必要な感情コントロールの方法を解説します!
今の時代、仕事で強い不安や悩み、ストレスを感じている人はどんどん増えています。どの職場でも、働く人たちの心と身体の健康を守ることは重要な課題です。
特に看護師は、他の仕事と比べてもストレスが高くて、精神的な疲労状態になりやすいことで知られています。
看護師の仕事は、観察力や状況判断力が必要とされますし、患者との関係を通して悲しみや怒りを一緒に体験することもあって、精神的に負担の大きな仕事です。
一方で、看護師は患者に対して沸き起こる色々な感情をコントロールすることも求められます。
看護師が上手に感情をコントロールすることは、患者の不安を減らしたり、安心感を与えたり、さらに患者に意欲を引き出すことも出来るなど、質の高いケアを提供するために必要なことです。
私は以前、師長さんから『看護師は女優よ。プライベートで何かあっても、患者の前では笑顔でいなさい!』と言われたことが、とても印象に残っています
いま思えば当時の師長は私に、プロとして自分の感情をコントロールして、一定の質の看護を提供しなくてはいけないと指導してくれていたのだと思います。
『看護師は女優よ』というインパクトのあるフレーズは私に強く影響したので、ぜひあなたにも届いてほしいです。良ければ最後までお付き合いください。
看護師の仕事の悩みについては>>【看護師の悩み】仕事がつらいと思った時に読んでほしいの記事でまとめています。良かったら読んでください。
感情はなぜ自由にコントロールできない?
感情は『喜び、驚き、怒り、恐怖、悲しみ、諦め、幸福感、愛情』など、いろいろな感情があって複雑ですよね。
ネガティブな感情は、あなたに身の危険を知らせて生き残るための人間の本能だと言われています。
例えば近くに大きな犬がいれば、あなたに危険を知らせるために恐怖という感情が現れて、あなたが犬に近づかないようにします。
ストレスがたまった時に感じるイライラ感は、あなたにリラックスが必要だということを知らせるサインなのです。
本能なので、あなたの状況に関係なく必要な感情が出てきてしまいます。これをコントロールするためには、あなたに強い精神力が必要になります。
自分に余裕がない時は、特にコントロールが難しいです
他にも、新人指導にイライラしてしまう先輩は多いですよね。そんなときの対処法をまとめた>>新人にイライラする!? 師長が教える新人教育でイライラしない方法!の記事も参考にしてください。
看護師が感情コントロールできるメリット
看護師の仕事は『感情労働』と言われています
感情労働とは、接客業や教師、客室乗務員などと一緒で、感情を抑えたり緊張や忍耐を必要とする職業です。
患者に対して、心理的にポジティブな働きかけが求められるため、自分自身の感情をコントロールする必要がある職業です。
求められる一定の感情表現があり、その表現が業務の質や成果を決めます。
感情のコントロールが出来る看護師になるメリットは、主に次の2つです。
・患者の治療に良い影響を与えられる
・職場が働きやすい環境になる
それぞれを解説していきます。
患者の治療に良い影響を与えられる
患者は、看護師のことを本当によく見ていますよ
看護師の表情や言葉ひとつで、患者は不安になったり安心したりします。
看護師が感情的に怒ったり泣いたりしているのを見ると、患者さんは『こんなに感情的になっていて、私の治療を間違わずに集中してできるのか』と不安になってしまいますよね。
確かに
自信がなさそうな顔で採血に来られたら、患者さんは不安でしょうね
それとは逆に、看護師が笑顔で明るく接して気持ちに寄り添うことで、治療に対する患者の意欲を高めることもできます。
たとえば患者さんから、こういうお礼を言っていただくことがあります
「元気のいいあなたの笑顔を見て、私も元気をもらっていたわ」
「あなたが褒めてくれるのが嬉しくてリハビリを頑張れたのよ、ありがとう」
看護師の表情や言葉かけは患者さんを励まし、勇気づけ、治療に対して前向きな気持ちにすることができるです。
患者に接するときの態度や表情をコントロールすることは、看護のプロとしての職務でもあるのです。
職場が働きやすい環境になる
感情をコントロールできると人間関係がスムーズになりますよ
感情をコントロールすることができれば、良い人間関係を築くことにつながります。
反対に、自分で感情をコントロールできなくてイライラや不安が周りに伝われば、他の人にネガティブな印象を与えてしまうことがあります。
あの先輩、今日も機嫌悪い…
話しかけづらくて嫌だな
職場環境では、イライラした緊張感があると一人一人がのびのびと働けず、仕事のパフォーマンスを高めることができません。
また、穏やかで冷静なコミュニケーションができない人間関係だと、情報の共有ができない、仕事の連携もできない、後輩の育成もできないと、ないない尽くしの環境になってしまいます。
感情のコントロールが苦手な人の特徴
あなたは感情のコントロールが得意ですか?
苦手ですか?
師長としてスタッフの育成に関わっていると、年齢に関係なく得意な人と苦手な人がいると感じます。
たとえば私の働く病棟で、感情のコントロールが上手だと感じるスタッフの特徴を紹介します。
・認知症でこちらの指示を理解してくれない患者に対して、落ち着いて穏やかな口調を保って対応できる
・忙しい日や怖い先輩がリーダーをしている時でも、同じようなテンションで患者の些細な訴えに笑顔を向けられる
・同期や仲のいいスタッフ同士でも、仕事中に大声で笑ったりはしゃいで注意されることがない
これは新人にも、中堅にも、ベテランにも共通して言える特徴です。
ただし、年齢を重ねると、徐々に感情のコントロールが苦手な人が減る印象です。苦手だった人も、努力してコントロール技術を身につけられるということでしょう。
ここからは、感情のコントロールが苦手な人の特徴、どういう人が苦手になりやすいのかを紹介します。
感情のコントロールが苦手な人の特徴は4つあります。
- 完璧主義
- ネガティブを引きずる
- ストレスをため込む
- 体調がすぐれない、よく眠れない
完璧主義
完璧主義の人は、怒りの感情が現れやすいです!
完璧主義の人は、自分が考えるとおりに物事が進まないことにイライラしてしまうことが多いです。
こうするのが当然なのに!
なぜしなかったの?!
決まった手順通りに行われなかったことや、いつもと違う流れになってしまうことにイライラして、怒ってしまうことはありませんか?
私が間違ってるんですか?
決まりを守らなかった向こうが悪いんじゃないんですか?
真面目で仕事のできる看護師さんに多いパターンですが、自分はきちんと確認して慎重にやっている仕事を、他の人が同じようにできないことに対して、感情的に怒ってしまいます。
そしてそのイライラした雰囲気で職場の雰囲気をピリピリさせてしまうのです。
あなたの仕事の質は高いし、尊敬しています!
だけどあなたの雰囲気に怯えて、委縮している後輩にも目を向けましょう
人がみんなあなたと同じようにはできないし、物事すべてが理想通りには進まないことを改めて理解しましょう。
あなた自身が自分に出来ること・できないことを客観的に判断して、自分の言動が周りに与える影響を考えましょう。あなたの言動次第で、周りのスタッフが『あなたのようになりたい』と意欲的になってくれる可能性があるんですよ!
周りのスタッフを『委縮させる』関わり方ではなく、『意欲的にさせる』関わり方ができると良いですよね!
ネガティブを引きずる
過去の失敗を引きずってしまい、自信のない態度になっていませんか?
過去に起こったネガティブなことをいつまでも引きずってしまうと、感情のコントロールがうまくできません。
失敗に対する後悔や、それに関わった誰かに対する恨みが自分の中にある限り、怒りの感情が続いてしまいます。
前もあの人に同じようなことをされたんだよね!
そのせいでミスになったんだから!
個人を攻撃するのではなく、改善すべきところはきちんと伝えて、それでその件は終わりにしましょう。
失敗を自分の教訓にするなど、ポジティブな考え方に切り替える努力が必要です。
ストレスをため込む
日々のストレスを、きちんと発散できていますか?
ストレスをため込みやすい人は、感情のコントロールが難しいです。
イライラや怒りをコントロールできず、感情の発散ができないので、どんどんとストレスをため込んでしまいます。
休みの日も出かける気になれない
家でも仕事を思い出してイライラします
たまったストレスをコントロールできないと、その感情を他人にぶつけてしまうこともあります。
友達にグチを聞いてもらったり、気分転換に出かけて遊んだり、ストレスを解消するための行動をとって気持ちをリセットする努力をしましょう。
体調がすぐれない、よく眠れない
睡眠不足のときは、怒りっぽくなってしまいます
よく眠れていない場合、感情のコントロールは難しくなります。
普段は感情のコントロールが上手な人でも、あまり眠れなかったときは、感情のコントロールがいつものようにできないことがあるのです。
睡眠が十分にとれていないと、脳がうまく働かないためです。
頭痛がしたり、体調が悪い時も、同じように感情のコントロールが難しくなります。
安心したり落ち着いた気持ちを作るセロトニンが脳内で不足することが原因であることが分かっています。
普段からしっかりと体調管理をしておくことが大切ですね。
感情を上手にコントロールするコツ
感情を上手にコントロールするにはコツがあります。
あなたが明日からすぐ取り組めるようなコツを5つ紹介しますね。
- 押し殺して隠さない
- 自分の感情に気付いて受け入れよう
- 感情を表現する場を作る
- 友人に話す
- 自分を癒す行動をとる
押し殺して隠さない
感情をなくすのではなく、コントロールするんですよ!
感情をコントロールしようとして、無理に押し殺して、なくしてしまおうとする人がいます。
喜怒哀楽の感情はわるいものではないし、怒りの感情も人になくてはならないものです。
不平不満や怒りを抑えこんだり隠すのではなくて、状況を改善するための話し合いや取り組みに向かうエネルギーにすればいいのです。
イライラを強い言葉で人にぶつけたり、嫌な態度を取ったりするのが問題なのです。カッとなって怒ったとしてもすぐにフォローするとか、冷静に対処法を話し合うとか、切り替えができることが大事なのです。
感情を持つことは人間として必要な事なので、それをどんな風に表現するかを考えましょう。間違えた表現の仕方をしていないかを、いつも気にかけることが必要です。
自分の感情に気付いて受け入れよう
自分の感情に気付いて、認めて、整理をしましょう
感情がコントロールできない要因の一つが『自分の感情に気付けていない』ということです。
イライラしてたので「なんで怒ってるの?」と聞くと「怒ってない!」と感情的に言い返されちゃった
こういう人は、自分の感情に気付けていないのかもしれません。
あなたがこういう指摘を受けたときには、「いま自分はどんな気持ちか?」と考えてみましょう。イライラしてる、悲しんでる、悔しい気持ちだ、というふうに感じていることを明確にしましょう。
そして、なぜその感情が出てきたのかを考えてみましょう。そうすることで感情がより具体的になって、客観的で冷静に受け止められるので、感情をコントロールしやすくなります。
感情を表現する場をつくる
自分だけの感情表現の場を作りましょう
感情は、どこかで表現する必要があります。
たとえば、あなたの怒りや悲しみを絵にかいて表現してみてください。それだけでもかなり落ち着くと思います。
感情がうまく伝わるように工夫して表現すれば、上手く表現できた時には怒りがかなり落ち着いていますよ。
絵画じゃなくても、写真でも、日記でも、音楽でも、小説を書いてもいいし、SNSで訴えてもいいんです。
表現方法は何でもいいので、とにかく表現して人に見てもらいましょう。
感情を表現するための場にもなり、ストレス発散の趣味にもなれば、最高ですね!
友人に話す
人に感情を伝えることで、気持ちはかなり落ち着きます。
一番いいのは、気の置けない友人に聞いてもらうことです
人に話すことのメリットは以下の3つです。
・あなたの気持ちに気付いて助けてくれる人が現れる
・自分の気持ちと向き合い、頭を整理できる
・相手の反応を見ることで、自分では思いつかない考えに出会ったり、視点が切り替わる
友人であれば自由に話せて、秘密が漏れず、強い指導もされないのだから安心です。思いっきり感情を出して話をしましょう。
そういう話を聞いてくれる、気の置けない仲間との気楽な場を作ることが、現実的な感情コントロールの一番の方法です。
自分を癒す行動をとる
自分の心身を癒すための行動を意識的に行いましょう。
たとえば私の場合、嫌なことがあった後などは自分を癒すために次のようなことをしています!
・部屋の明かりを落としてキャンドルを灯す
・いい香りの入浴剤を使ってゆっくりお風呂に入る
・特別な時にしか使わない高級なパックを使う
・新しいシーツに変えて、早く寝る
こういう時に使うために、新しいシーツやとっておきの入浴剤、少し高級なキャンドルなどを準備しています。
お酒や甘いものが好きな人なら、そういうものでも良いかもしれませんね。
とにかく自分を甘やかして、とっておきのことをして、気持ちを切り替えましょう。
感情コントロール上達へのトレーニング法
感情を上手にコントロールするために、毎日できるトレーニング方法を4つ紹介します。
日ごろから心がけて練習すれば、徐々に身につけられるはずです。
ポジティブなところを探す
ネガティブな気持ちになる原因のなかに、ポジティブな部分を探しましょう。
あんなミスをしてしまったけど、後できちんと謝れたのは良かったな
どんな出来事にも、ポジティブな部分を探すことができるはずです。
『失敗してすごく叱られたけど、泣かなかったぞ』というような、小さなことでもOKです。
悪かったこと、ネガティブな事ばかりに目をやらず、ポジティブな部分を見つけて、そこに注目するようにしましょう。
他人の気持ちを考える習慣をつける
普段から、相手の気持ちを考える習慣をつけましょう
『相手の気持ちを考えろ』というのは子供の頃から教えられることですが、案外できない人が多いです。
会話をしている時に、自分の考えをどう伝えるかを考えるのではなく、相手がいまどう感じているかを想像してみるのです。
人の気持ちになって物事を考えることで、自分の正義だけが正解じゃないということを考えられれば、怒りがおさまることが多いです。
自分がイヤな思いをした時にはそのことで頭がいっぱいになると思いますが、がんばって相手の気持ちを考えてみましょう。
気持ちを切り替える努力をする
怒りの気持ちは6秒経つと通り過ぎると言われています。
何かにイラっとした時は、一旦その場を離れて深呼吸したり、散歩したりするなどして、気持ちを切り替える習慣をつけましょう。
怒りの感情をコントロールするためのスキルとして『アンガーマネジメント』があります。
アンガーマネジメントとは、怒りの感情とうまく付き合うための心理トレーニングのことで、企業研修や子育て、医療・介護などの場で広く活用されています。
イライラしやすい人は、アンガーマネジメントを勉強してみることをおすすめします!
ひとつの考え方にこだわり過ぎない心構え
ひとつの考え方にこだわり過ぎず、様々な考えを取り入れる、柔軟な思考を心がけましょう。
ひとつの考え方にこだわりすぎると、他人の意見が受け入れられずイライラしてしまいます。
『ふつうは皆こうするでしょう』『当然こうするべきなのに』と決めつける考え方を変えることが大切です。
人はそれぞれ感じ方や考え方が違い、同じ物事を体験しても違う感想を持つのが普通です。そのことを忘れず、自分の考え方が常識だという思い込みを捨てましょう。
まとめ
今回は、看護師に必要な感情のコントロール方法について解説しました。
看護師の仕事は、観察力や状況判断力が必要とされますし、患者との関係を通して悲しみや怒りを一緒に体験することもあって、精神的に負担の大きな仕事です。
一方で、看護師は患者に対して沸き起こる色々な感情をコントロールすることも求められます。
看護師が上手に感情をコントロールすることは、患者の不安を減らしたり、安心感を与えたり、さらに患者に意欲を引き出すことも出来るなど、質の高いケアを提供するために必要なことです。
感情のコントロールが出来る看護師になるメリットは、主に次の2つです。
・患者の治療に良い影響を与えられる
・職場が働きやすい環境になる
感情のコントロールが苦手な人の特徴は次の4つです。
- 完璧主義
- ネガティブを引きずる
- ストレスをため込む
- 体調がすぐれない、よく眠れない
上手な感情コントロールのコツ5つは、以下の通りです。
- 押し殺して隠さない
- 自分の感情に気付いて受け入れよう
- 感情を表現する場を作る
- 友人に話す
- 自分を癒す行動をとる
感情のコントロールは、看護師としてのスキルだけではなく良好な人間関係のためにも必要です。
仕事でストレスをため込んでいませんか?
看護師の悩みついては、いくつか別の記事でもまとめているので、そちらも参考にしてください。
この記事が、明日からのあなたの看護に少しでも役立てばうれしいです。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。