● そもそもなんで異動をさせられるの?
● 入職したばっかりでも異動になることがある?
● 異動がいや!避ける方法はないの?
こんにちは、はるです。
今回は病院での部署異動について解説します!
皆さんの職場では、異動は定期的に行われていますか?
多くの看護師が働く病院では、異動でローテーションされるところが多いです。
では異動はどうやって決められているのか、何のためにしているのか、知っていますか?
私は地方の病院で看護師長をしているので、定期的に看護部長と人事異動に関する調整をしています。定期で行う人事異動だけでなく、臨時で異動を組んだり、誰をどこに異動するかなどの会議に参加しています。
その経験から、皆さんが異動に関して疑問に思うことを解説したいと思います!
この記事では、病院が異動をおこなう理由や、異動することのメリットとデメリットをご紹介します。
- 異動をおこなう5つの理由
- 異動のメリット・デメリット
- 異動の対象となる経験年数
- 異動を避ける5つの方法
異動が決まった後には【看護師長が教える】異動の準備と、はやく馴染むコツの記事が役立つと思うので、そちらも参考にしてみてください。
「異動は突然!」が一般的
異動って事前に相談してくれないの?
看護師の異動では、事前に本人に相談することはありません。
ある日突然、師長に異動を告げられたり、紙で貼り出されたりします。
希望しているかどうかに関係ない場合も多いので、「突然!」と驚くでしょう。
しかしどこの病院でも、異動の辞令は決まってから告げられるのが一般的です。
私の病院は、9月に定期異動があります。その他に、2月ごろに臨時で異動をおこなう場合もあります。
『〇月に異動があるので、うちの部署からも異動になるスタッフが出ると思いますよ』ということは、少し前から伝えておいて、心の準備をしてもらうようにしています。
そして実際に異動になるスタッフが決まったら、個別に面談をして本人に伝えています。
これがおおよそ異動の3週間くらい前になります。
異動の辞令は突然なので、異動が決まってしまったあとは異動の準備をして、新しい場所に早く馴染めるように努力しましょう。
別記事「【看護師長が教える】異動の準備と、はやく馴染むコツ」でまとめていますので、参考にしてみてください。
異動を行う理由は5つ!
異動って必要?
だれがどうやって決めているの?
異動の理由は5つあります。
- マンパワーのバランス調整
- 人間関係のトラブル調整
- 部署の雰囲気を変える
- 本人の希望・スキルアップ
- 退職回避
順番に、それぞれを説明します。
異動の理由1:マンパワーのバランス調整
退職や産休のスタッフがでた場合、人数や経験年数のバランスが悪くなります。
リーダーや夜勤の看護師数が足りなくなると困るので、スタッフの補充が必要です。
そういったマンパワーの調整のための異動が、定期的に行われます。
人数に余裕がある部署から、少ない部署へ異動で補充するのです。
それ以外にも、若いスタッフを出してベテランを入れるなど、年齢や経験のばらつきも減らします。
私は病棟師長として、30人以上のスタッフを抱えています。
毎年、数人が退職しますし、数人が産休に入ります。大ベテランが数人続けて退職や休みに入ることもあります。
そういう人数の変化を考えながら、それでも一定水準の看護ができるようにする必要があります。
面談で半年以内の退職予定などは申し出てもらっていますので、それらを計画に入れて異動や中途採用、新卒者採用の計画を立てています。
師長は、自分の部署に人を補充してほしいことを看護部長に伝えます。
このくらいの経験の、こういう人をください!と直談判する感じですね。
話の流れを見ながら、欲しい人材を名指しすることもあります。
それでも思った通りに希望がとおることは、ほとんどありません。
師長がそれぞれの都合で希望を出していますし、全体のバランスがあるからです。
異動の理由2:人間関係のトラブル調整
人が多く集まって働くのですから、どうしても人間関係の問題はあります。
しかも20代〜30代の女性ばかりなので、ちょっとしたことで仲良くなったり、ケンカしたり。
そういうことは日常茶飯事です。
その中でも異動で解決しようと思うのは、周りへの影響の大きさですね。
その部署に長く働いていて、スタッフへの影響力・発言力が大きくなり過ぎているスタッフがいたら、異動を検討します。
良くも悪くもその人の意見で部署の雰囲気が決まってしまうため、そのままにしておくのは危険です。
また優秀なスタッフが人間関係で辛い思いをしているときなど、異動で解決する場合もあります。
異動の理由3:部署の雰囲気を変える
スタッフの入れ替わりが少なく、同じスタッフで長く一緒に働いていると、慣れが出てきます。
慣れは、仕事の効率が上がったり、信頼関係が深くなるなど、良い影響は多いです。
しかし逆に、なぁなぁで指摘しあえなかったり、独自ルールができたり、良くない影響もあります。
そういう時、部署のスタッフを少し入れ替えてリフレッシュする目的でも、異動をします。
スタッフを入れ替えて新しい風を入れると、これまで当然だと思っていた業務を短縮できたり、新しい方法に気付けることがあります。
そのような良い影響を期待して、人事異動をするのです。
異動の理由4:本人の希望・スキルアップ
スタッフから異動希望がでる場合もあります。
しかし希望があったからと言って、すぐにその通りになることはありません。
定期的な異動の時期に、その希望を叶えられるように検討をします。
人数に余裕があれば、異動で人が減っても良い覚悟で、師長は異動を検討できます。
しかし通常は、一人出ていくなら一人入ってきてほしいと考えるでしょう。
その場合はここに来たいと希望している、同年代のスタッフとトレードが必要です。
これがなかなか難しいところで、なんども検討を重ねるところです。
経験6年目のリーダーを異動で出すのに、代わりに来るのは経験2年目だと、バランスが悪いですよね。
しかし同じような年代の看護師が、同じ時期に、お互いの部署への異動希望をすることなんてありません。
なのでどうしても、希望をしていないスタッフを異動しなければ成立しないことになるのです。
異動の理由5:モチベーションを保って退職を回避する
看護師は、転職先がたくさんあります。
そのため、気軽に退職しやすい仕事でもあります。
3年くらい同じ職場にいると仕事に慣れ、小さな不満も重なり、退職を考え始めるスタッフがいます。
とくに目標もなく働いていると「他にもっと自分に合うところがあるかもしれない」と、退職を考え始めるのです。
そういう退職を回避するために新しい役目を与えたり、定期的に異動をさせて、モチベーションの維持をはかります。
私の部署でも『そろそろ違う病院も経験したい』という理由で退職を希望する3~5年目くらいのスタッフがいます。
私はこれまで5カ所以上の転職を経験していますし、それが自分の強みになっていると思います。いろんな地域のいろんな規模の病院を経験できたことは、私の視野を広げてくれました。
しかし転職して1年で退職してしまった職場もあります。転職は手続きが面倒なだけでなく、準備に時間もかかるし、新しい環境に慣れるまでは精神的にも疲れます。
それらの苦労をして転職をしなくても、今の病院で異動することで視野を広げたり新たな経験が詰めるのであれば、先にそちらを試すべきだと思います。
転職よりもリスクが低いからです。
異動を決めるのは看護部長
この複雑な異動は、基本的には看護部長が決定しています。
ただし、看護部長一人の考えではなく、人事課長や医局の意見なども影響します。
人員配置に関する経営者会議も行われていて、その会議でも検討されます。
スタッフの人事は組織全体に影響することもある重要事項なので、簡単に決められているものではないということです。
異動のメリット・デメリット
異動することのメリットは、たくさんあります。
これらのメリットは、一度でも異動経験があれば納得できるはずです。
とくに人脈を広げるメリットは、とても大きいです。
なにか交渉や依頼する場合でも、知り合いがいるかどうかで、やりやすさが全く違います。
普段は人脈を広げるのは難しいですが、異動では簡単に、自然と人脈が広がります。
このように、異動には多くのメリットがあります。
逆に、デメリットも紹介します。
とくに環境がかわることが苦手な人には、大変な経験になるでしょう。
人見知りや、引っ込み思案な性格だと、人に慣れて居心地よくなるまでに、時間がかかります。
その間は落ち着かず、気を遣うので、疲れてしまうでしょう。
これまでテキパキ仕事をしていた人でも、新しい部署では教えてもらう必要があるので、自信を失うこともあります。
内向的な性格や、積極性があまりない人だと、異動したばかりの頃はツラい思いをするかもしれません。
異動については「【看護師長が教える】異動の準備と、はやく馴染むコツ」でもまとめていますので、そちらも参考にしてみてください。
異動の対象は何年目?
異動って何年目から対象になるの?
異動の対象となるのは、基本的には3年目以上のスタッフです。
その部署に3年いると、部署内のことは一通りできるようになりますよね。ルーチンワークであれば、先輩の指導がなくても問題ありません。基礎的な知識や技術はほぼクリアしたはずです。
そのためスキルアップのためにも、部署のリフレッシュのためにも、そろそろ異動を検討します。
異動後や中途採用のスタッフの場合も、その部署に入って3年くらいが一つの目安です。
ただしパワーバランスの調整のためや、事情のあるスタッフのために、3年になる前に異動になる場合もあります。
3年たっていないのに異動をいわれた時、気になるなら師長に理由を尋ねてください。
ちゃんとした師長であれば、本人が納得できるような理由を説明してくれるはずです。
少なくとも私は、本人が気持ちよく異動できるように、納得できるように、理由を説明していますよ。
異動は断われるのか
異動はいやだ!
断れないの?
異動は人事命令です。
人事命令として交付されてから断ることは、できません。
うちの病院でも過去に1名、残念ながら異動がイヤだと言って退職してしまったことがあります。看護部長や院長とも面談していましたが、結果は退職になりました。
実際に人事命令が出てから断ることを認めてしまうと、他の人たちに示しもつかないので、病院側が認めることはありません。一度交付されてしまったら、断るには退職するしかないと思いましょう。
異動は命令なので断れます。しかし、避ける方法はあります。
どうしても異動がイヤなら、人事が交付される前に手を打っておきましょう!
異動を避けるための5つの方法
異動の対象になりにくい5つの条件を、紹介します。
・看護研究や新人指導係など、年間を通して行う役割をしている
・自分しかできない業務がある(資格の保有など)
・同年代が自分しかいない
・退職予定がある
・異動になったら退職すると伝えておく
この5つの条件は、異動人事を決める際にあらかじめ対象から外される可能性があります。
1.看護研究や新人指導係など、年間を通して行う役割がある
この場合は、分かりやすいですよね。
他に変われる人がいなければ、異動するわけにはいきません。
ただし複数名でおこなっている場合は他の人で継続できると判断されて、異動になります。
複数で取り組んでいる場合は、他の人で代われないほど中心となって取り組んでいることが必要です。
2.自分しかできない業務がある
この場合も、異動を検討する場に名前が上がらないはずです。
自分だけが持っている資格で、特別な業務をしている場合、異動はありません。
たとえば今はまだ特別な業務をしていない人でも大丈夫です。
その部署でしか学べない内容を、いま熱心に勉強している人は、そのタイミングで異動はさせません。
その部署に関連する資格取得を目指しているときなども、同じです。
そのチャレンジが終わるまでは、今の部署のままにしてあげたいと思うでしょう。
3.同年代が自分しかいない
この状況は自分で作り出せるわけではありません。
しかし偶然この状況になると、異動の可能性は低くなります。
同期も、自分の前後の年代もいないとなると、部署の年齢バランスが崩れるため、同年代同士でのトレードしかできなくなり、異動の可能性は低くなるでしょう。
4.退職予定がある
1年以内に退職を予定している人は、異動にはできません。
すぐに辞めてしまうのでは、異動先で仕事を教えてもらうことが無駄になるからです。
しかし異動を避けるための嘘で退職をちらつかせるのはおススメしません。
今年中に辞めなければ、来年は異動の対象となってしまうでしょう。
5.異動になるなら辞めると宣言しておく
これは何度も使える手ではありません。
面談の時に師長へ「異動になるなら退職する」と伝えておけば、師長は「もし辞められても仕方がない」という覚悟を決めた上でしか、異動人事を出せなくなります。
あなたが大切な人材であればあるほど、うかつに異動とは言えなくなるでしょう。
ちょっと卑怯な手ですが、効果はあります。
まとめ
看護師の異動について、異動を行う理由と、メリット・デメリットを紹介しました。
異動をおこなう理由はこの5つです。
- マンパワーのバランス調整
- 人間関係のトラブル調整
- 部署の雰囲気を変える
- 本人の希望・スキルアップ
- 退職回避
そして、異動のメリットは以下の5つです。
異動のデメリットは、以下4つです。
そして最後に、異動を避ける5つの方法です。
・看護研究や新人指導係など、年間を通して行う役割をしている
・自分しかできない業務がある(資格の保有など)
・同年代が自分しかいない
・退職予定がある
・異動になったら退職すると伝えておく
異動になるのが心配な人もいると思いますが、異動にもメリットはあります。
できるだけ前向きにとらえて、チャレンジしてみてほしいと思います。
異動が決まった後には「【看護師長が教える】異動の準備と、はやく馴染むコツ」を参考にしてみてください。
どうしても異動がいやなら、拒否するために退職を選ぶ覚悟をきめるしかありません。
その場合はきちんと仕事の引継ぎをして、新しい職場を探して、気持ちよく転職しましょう。
看護師が働ける場所はたくさんあります!
「病院以外でも働ける!看護師の転職先 9つ【新人でも大丈夫】」や「師長が考える、看護師の完璧な退職準備」という記事を書いています。
興味がある方は読んでみてください。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
この記事が、異動を不安に思う看護師の役に立てればうれしいです。