● 仕事でミスをするのが怖い
● ミスが多いから、先輩に見捨てられそうで不安
● ミスをしても「新人だから仕方ない」って言ってもらえるのはいつまで?
こんにちは、はるです。
私は地方病院で看護師長をしています。
今回は、新人看護師に多いミスについて解説します!
どの職種でも、新人さんがミスをするのは仕方がないし、当然です。それでもミスをしたら先輩に怒られるし、ミスを繰り返すと自信がなくなってしまいますよね。
さらに、医療の現場では『新人だからって許されないミスがある』のも事実です。
ミスをして怒られるのが怖い!
私は病棟看護師長をしていて、毎年たくさんの新人さんを受け入れています。その経験から、新人看護師さんが起こしやすいミスが分かりますし、ミスをした後の対応で新人さんの成長が変わることを知っています。
この記事では、新人看護師に多いミスを紹介し、ミスに対して新人さんが疑問に思っていることに応えます!
この記事を読めば、新人に多いミスを知って事前に予防策を立てられますし、ミスについて不安に思っている疑問点を解消できて、前向きな気持ちで仕事に取り組めるようになりますよ!
ぜひ、最後まで読んでください。
他にも、ミスが多い人には>>【新人】同じミスを繰り返す原因と直し方|看護師長が対策を教えます!の記事もおすすめです。ミスを繰り返しているひとは、一度読んでみてください。
ミスが多い人の特徴
先週もミスで怒られたばかりなのに…
わたしが考える、ミスが多い新人の特徴は5つ!
あなたは当てはまるかな?
師長の私が考える『ミスが多い新人の特徴』は次の5つです。
- 焦りすぎ、落ち着きがない
- 大雑把
- 自分中心で周りを見ない
- 時間を見ない
- プロ意識がない
それぞれ内容を解説しますね!
焦りすぎ、落ち着きがない
看護師の仕事は、ゆったりのんびりできる仕事ではありませんよね。
次に何をするか考えながら動いて! 効率よく動かないと終わらないよ!
こういう指導を受けることが多いんじゃないでしょうか。
そのためか、慣れずに時間がかかる新人さんは、焦ってバタバタ動いてミスをしてしまいます。
急いでて、ちゃんと確認しませんでした
指示を見落としたり、別の患者さんのものと取り違えたり。
落ち着いて考えれば間違えないようなミスをしてしまいます。
大雑把
大雑把な人は、仕事の細かいところの確認が不足しています。
自分のやった仕事を見直さずに提出して、誤字脱字を指導されたり、添付文書をつけ忘れてしまいます。
締め切りを確認していませんでした…
じっくり考えたり説明を聞いたりせず、『分かったつもりになる』ため、細かいところを理解していません。
しっかり理解しないままでやり始めてしまうので、ミスにつながってしまいます。
視野が狭い
そもそも新人は社会に出て間もないので、周りと協調して働くことが苦手です。
特に視野が狭い人は、自分のことばかりで周りに目を向けないので、集団で働く看護業務ではデメリットとなります。
今日は手術が多いんだから、こっちから先にやって!
周りがバタバタしてるの、分かるでしょう?
手術が多いって言ってくれないと分かりません
バタバタしてるもの気付きませんでした
私は実際にこんな経験をしました。
病棟内で急変を発見して、大勢で心肺蘇生の対応をしている時に、ナースステーション内でゆっくりと定数チェックをしている新人がいました。
声をかけると、病棟内で急変対応をしていることに気付いていませんでした。スタッフが何度もステーションを出入りしているのを見ても、声をかけられなかったので自分には関係ないと思っていたそうです。
視野の狭さは、周りへの関心の薄さです。自分のことで頭がいっぱいで、ほかのことを考える余裕がないのです。
新人さんは関心をもって周りを見ること、自分から情報を取りに行くことを心がけましょう!
時間を見ない
目の前の仕事に一生懸命になっていて、気付いたら申し送りの時間を過ぎている!ということがありますよね?
まだラウンドしているの?
もうこんな時間よ、急いで!
集中していて、時間に気付きませんでした
時間管理ができないのも、新人さんのミスの原因です。
看護師の仕事は、タイムスケジュールが重要です。
・手術時間までにバイタルサインを測定して、手術着に着替えて、書類の確認をしておく
・退院時間までにカルテ記録を終えて、渡す手紙や薬をチェックして、退院指導をやる
・食事が配られる前に血糖値を測定する、体重・腹囲を測定する
時間が決まっている仕事が多く、〇〇時までにここまで終わらせる、という働き方をしています。
時計を見たり、タイマーを使う習慣がないと、時間内の処置が終わらずにミスになってしまいます。
プロ意識がない
これまで学生で、親の保護下での生活だったため、急にプロとして責任感を持つのは難しいです。
しかし国家資格を持って仕事を始めたからには、プロの自覚が必要です。
患者さんから見れば、同じ看護師よ!
責任をもって対応してね
患者さんから頼まれたことを忘れてしまったり、指示されたことの意味を考えずにやって終わらせてしまうことがあります。
そういう責任感のない働き方をしていると、ミスを繰り返してしまいます。
新人に多いミス5つ
ミスをしやすい人の特徴を紹介しましたが、あなたに当てはまるものがありましたか?
つぎに、新人の時期に起こしやすいミスを紹介します。新人さんに多いミスは次の5つです。
- 患者を間違える
- 情報の把握もれ
- 薬の投薬間違い、忘れ
- 報告・連絡ミス
- 書類や記録のミス
どんなミスを起こしやすいかを知っておけば、事前に対策を立てて予防することができます。
自分も同じミスをする可能性があるかも!と思って読んでね
患者を間違える
患者を間違えてしまうミスは、重大事故につながる恐れがあるミスです。
患者さんの名前をうっかり呼び間違えてしまいました
・放射線科から『サトウさん』の呼び出しがあって案内したが、実際は『カトウさん』の検査だった
・食事を配るとき、思い込みで別の患者さんのテーブルに配ってしまった
・薬が届いたので、朝から待っていたAさんの薬と思い込んで準備したら、違う人の薬だった
このようなミスを防ぐために、各施設で対策が立てられています。
検査の呼び出しはフルネームで
人に依頼するときは口頭指示をせず、メモ紙を渡す
薬の確認は必ず複数で対応する
このようなルールを設けて、重大なミスにつながらないよう工夫をしています。
仕事に慣れない新人さんは、患者さんの確認を十分に行いましょう。
こちらから名前を呼びかけるのではなく、自分で名乗ってもらってね。
話せない方はネームバンドで確認を!
氏名の確認は、全てのケアの基本です。氏名確認がクセになるまで繰り返し行いましょう。
情報の把握もれ
受け持ち患者さんの情報をきちんと把握できていないと、ミスになります。
・明日の検査予定を見落としていたため、前日に行う検査前処置ができていなかった
・食事前に体重測定の指示があることに気付かず、食事を開始してしまった
情報収集したのですが、見落としていました
情報をきちんと把握していないと、治療に必要な処置や検査ができなかったり、患者さんへの説明や対応も不足してしまいます。
患者に関する情報はカルテ内にたくさんあるため、情報を網羅するのは大変ですが、工夫しながら正確な情報を収集しましょう。
先輩たちがカルテのどこを見て情報収集しているかを確認してマネをすることから始めましょう。情報収集は慣れてくると早く正確になります。
苦手な人は、指導者に相談して情報収集の練習をさせてもらいましょう。
薬の投薬忘れ、間違い
注射や内服のミスは、指示を出す医者、薬を準備する薬剤師がミスをしていても、最終的に患者に投与するのが看護師であるため、看護師のミスとなることが多い業務です。
たくさんの患者を受け持ち、ケアを行いながら、点滴の管理や毎食後の薬の投与をするため、焦っている時などはミスをしやすい状況になります。
・10時に食間薬があったが、患者に渡すのを忘れてしまった
・夜中に抗生剤の点滴があったが、うっかり投与を忘れてしまった
・2日に1回の吸入指示だったが、間違えて連日吸入させてしまった
2バイアルの指示なのに、薬剤部から1バイアルでセットされて来たの。
看護師が気付かなければ、このまま投与されていたかもしれませんよ!
時には薬剤部の準備間違えや、医師の指示間違いを看護師のチェックで発見することもあります。
新人看護師はチェック作業自体に不慣れなので、見落としてしまうことがあります。慎重に確認して、投薬しましょう。
報告・連絡ミス
看護師は集団で勤務をしていますので、きちんと報告や連絡ができていないと、ミスになってしまいます。
・医師の指示を口頭で伝えたが、きちんと伝わらずにミスになる
・きちんと伝えたつもりだったが、リーダーには意味が間違って伝わっていた
・ラウンド中に患者から依頼されていたことを伝え忘れてしまった
コミュニケーション・エラーによるミスは、とても多いです。
病院はチームで働いているので、どれだけ情報を共有できているかが仕事の質に関わります
看護師間だけではなく、医師や検査技師、薬剤師、リハビリスタッフなどとも情報共有が必要です。
新人看護師さんの場合、初めて対応する内容や、自分にはわからない状況に出会った時、すぐに報告・相談できるかどうかが重要です。確認しないままで対応すると、ミスになってしまう場合があるのです
日ごろから相談しやすい関係を作ることや、先輩とコミュニケーションをとることを意識しながら働きましょう。
書類や記録のミス
看護師は、おこなった処置や観察した内容を記録に残します。
入院時に渡す書類や、記載する書類もたくさんあります。
同意書の説明はしていないの?
この手術の時は、この同意書が必要でしょう?
書類の種類が色々あるから、覚えられないよ
必要な書類を忘れたり、そもそも書類を間違えたりするミスも、業務に慣れない新人看護師に多いミスです。
必要な書類の数や種類、サインが必要な個所などをチェックリストにして、確認しながら働きましょう。
「許されるミス」と「許されないミス」の違い
看護師の仕事では、ミスが許されないと考えられています。
でも、ミスをしない人はいません。
ミスをせず成長した看護師もいないはずです
新人がミスをするのは、ある程度は仕方がないことです。先輩たちは『新人だからミスをするだろう』という心構えで仕事をフォローする覚悟があります。
そのためのダブルチェックですし、指導係がついているんです。
新人なら、ミスしても許されるんですか?
わたしは、基本的には新人のミスで指導はしますが、叱りません。
ただし許されないミスもあり、その場合は厳しく叱ります!
許されるミス | 許されないミス |
---|---|
・未経験や、経験が不足している業務 ・うっかり | ・同じミスを何度も繰り返す ・(チェックリストなど)やるべきことを故意に省略して起きたミス |
怠慢で、やるべきことを故意にやらずに起きたミスの場合は、許されないミスです。
いい加減な働き方をしている人に、命や健康を預ける人はいません。
そのようなミスをする新人には、仕事の意味や、事故が起きた際の重大性を自覚させる必要があるので、厳しく叱ります。
ミスで落ち込んだときの対処法
ミスをすると、落ち込んで暗い気持ちになってしまいますよね。
ミスをして師長に叱られた…
明日から仕事に行きたくない、ツラい
- 自分は看護師に向いていないんじゃないか
- ミスをした自分のことを師長や先輩はどう思っているんだろう
- また間違えそうで不安
こんな不安な気持ちになってしまうんじゃないでしょうか。
わたしは師長として看護師のインシデント対応を毎日していますが、大きなミスをしてしまったスタッフが、とても傷ついてツラい思いを抱える姿を見るのが本当に悲しいです。
ミスをしてもそのことを次に活かして成長するためには、しっかり振り返って反省したら、そのあとは元気に前向きに立ち直ることが大切です。
- 同期や家族に気持ちを聞いてもらう
- 自分を責めない
- 自分のしたことを理解し、次に活かす
- スポーツや運動で身体を動かす、ゆっくり寝る
- 自分の目標を思い出す
師長は医療安全について、こう考えています。
ミスを個人の責任とは考えず、ミスが起きる仕事の仕組みや組織の問題と考えて対応しよう、と。
ミスをしてしまってツラい気持ちや、仕事に対する怖さは、看護師なら誰でも感じている気持ちです。同期や仲の良い先輩に話を聞いてもらいましょう。必ず共感してくれますし、励ましてもらえますよ。
自分を責めすぎず、どうすればミスが続かないかを考えて次に活かしましょう。
軽い運動をしたり、ぐっすり眠ることで気持ちを切り替えることができます。私は趣味の山登りに行ったり、キャンプ場で焚き火をして過ごしたりします。出かける時間がないときは、大きな音で音楽をかけて、部屋中の掃除をして回ります。
気持ちがスッキリして、夜はぐっすり眠れるので、翌日気持ちを切り替えて仕事に向かうことができるんです。
詳しくは>>【看護師の悩み】インシデントで落ち込んだ時に立ち直る方法で詳しく説明しています。
ミスが多い新人はクビになる?
ミスが多いし、病院からクビにされそうで怖い
ミスが多いからといって、あなたをクビにすることはありませんよ!
働く人の権利は法律で認められているので、病院は簡単に看護師をクビにしたりはできません。故意に病院に損害を与えたりしない限りは、クビになることはないので安心してくださいね。
- 無断欠勤を何度もくり返す
- お金や品物を横領する
- 悪質な犯罪で逮捕される
- 著しく能力不足で改善努力もない
基本的には、ミスをしたときに漫画のように『あなたはクビよ!もう明日から来なくていいから!』と言われるようなことはありません。急に明日から仕事を失うようなことは、現実では起きないのです。
新人のミスの責任は誰がとる?
私はちゃんと教えました。
ミスをしたのは新人なのに、指導者の責任になるんですか?
師長をしていると、新人指導をしてもらっているスタッフから『新人のミスの責任は、私たちにあるんですか?』と聞かれることがあります。
答えは、決まっています。
看護師が行なうこと全ての責任は、師長にあります
もちろん、ミスをした時も最終責任は師長です。
では当事者の新人さんや、その指導者の先輩、その業務を指示したリーダーには、全く責任がないでしょうか?
そんなことはないですよね?
新人には新人なりの、リーダーにはリーダーなりの責任があり、それぞれの仕事をどう改善すれば今回の事故が防げたかを振り返って反省し、次に活かす必要があるのです。
なにかミスが起きたときには、ミスした本人だけが反省するのではなく、組織全体で振り返って『自分ができる範囲で改善できるところはないか?』を考える視点が大切なのです。
あなた自身が『私は新人だからミスをしても仕方ないよね』と、ミスについて考えることを止めてしまったら成長しません。自分のミスだけではなく、同期や先輩のミスであっても『自分ならどうしたかな?』と考えたり、『私が何かすることで防げたんじゃないかな?』と想像したりすることで、次のミスを防げるんですよ!
新人のミスはいつまで許される?
今はまだ『新人だから仕方ないよ』と言ってもらえるけど、いつまで許されるんでしょうか?
新人さんがミスをしたり、電話対応がイマイチだったり、先生の指示をきちんと理解できない場面で『新人だから仕方ないよね』と優しくフォローしてもらえるのは、いつまででしょうか。
明確に、いつまでと決まっているわけではありませんが、看護部の習慣としては『新人だから』と言えるのは1年間が目安になります。
ただし、夜勤帯の業務や急変対応、指示受けなどのリーダー業務に関しては『まだ2年目だから仕方ないね』と言ってもらえるでしょう。
病院によっては、最初の1年間は名札の色を変えたり、初心者マークをつけて、新人であることが他職種や患者に分かるようにしている場合もあります。
そうすることで、不慣れな新人に複雑な指示をしないよう配慮してもらうことができます。
組織全体で新人をフォローしてくれる期間はおよそ1年間ですよ
この期間に出来るだけ色々な経験をして、小さなミスを積み重ねておくことで、2年目になった時に困らなくてすみますよ!
まとめ
今回は、新人看護師のミスについてまとめました。
ミスが多い新人さんの特徴は次の通りです。
- 焦りすぎ、落ち着きがない
- 大雑把
- 自分中心で周りを見ない
- 時間を見ない
- プロ意識がない
もしもあなたに当てはまるものがあれば、少しずつでも改善していきましょう!
そして新人さんに多いミスは次の通りです。
- 患者を間違える
- 情報の把握もれ
- 薬の投薬間違い、忘れ
- 報告・連絡ミス
- 書類や記録のミス
他の人のミスであっても『自分も同じミスをするかもしれない』と想像しながら、一緒に対策を考えることが大切です。
そして、許されるミスと許されないミスの違いは、次の通りです。
許されるミス | 許されないミス |
---|---|
・未経験や、経験が不足している業務 ・うっかり | ・同じミスを何度も繰り返す ・(チェックリストなど)やるべきことを故意に省略して起きたミス |
ミスをしてしまったこと自体ではなく、ミスを繰り返さないように努力しているかどうかや、故意に手を抜いたり、悪意を持ってミスをしたりすれば『許されないミス』になります。
そして最後に、ミスをしたからと言ってすぐにクビになったり、あなただけに全ての責任を負わされることはありません。そこは師長や病院が、必ずあなたを守ります。
しかし仕事初日の新人であっても、責任感のない行動や、他人に責任を押し付けて自分は知らんぷりをすることはできません。
プロとして国家資格を持って働いていることを自覚して、ミスを減らす努力を続けていきましょう!
あなた自身が努力をしていれば、周りの先輩や師長さんは見てくれていますし、あなたの一生懸命な気持ちは患者さんに伝わりますよ!
ミスが減らせるように、一緒に頑張りましょうね!
他にも、看護師さんが仕事でつらいと感じやすいぎょうむをまとめた記事>>【看護師の悩み】仕事がつらいと思った時に読んでほしい記事|まとめを書いています。参考にしてください。