● いつかは何かの認定になりたいけど、具体的に決められない
● どんなことを勉強したらいいのか分からない
● 看護観や理想の看護師像が答えられない
こんにちは、はるです。
私は地方の病院で急性期病棟の看護師長をしています
今回は看護師のロールモデルに関する解説をします。
スタッフと面談をしていると、こんな悩みをよく聞きます。
「いつかは何かの認定をとったり、専門知識を身につけたいけど、何を勉強するか決められない」
「いろいろ学びたいけど研修や資格もたくさんあって、何からやったらいいのか分からない」
若い看護師さんだけじゃなく、経験を重ねたベテランさんでもこういう悩みを持っている人は多いんじゃないでしょうか。
看護師としてスキルアップをしたいけれど、どんな努力をすればいいか分からない人への答えは、これです!
自分だけのロールモデルを持ちましょう!
ロールモデルを持てば、自分が目指すべき方向が具体的に見えてきますし、そこにたどり着くまでにどのような勉強や努力をすればいいかも決まります。
最短距離で、目指す方向に向かえるのです。
この記事では、①ロールモデルとは何か、②ロールモデルを持つメリット、③ロールモデルのつくり方まで詳しく解説するので、ぜひ最後まで読んでいってください。
看護師の悩みについては別の記事でもまとめているので読んでみてください。>>【看護師】2年目の壁|ツラい理由と対処法を師長が解説!、【看護師】5年目の不満|5年目がツラい理由と対処法
ロールモデルをつくれば自分の将来が見えてくる
看護師は資格を取るまでの道のりがたくさんあり、高校専攻科卒業の人や4年制大学卒業の人など、いろいろな教育背景の人の集まりです。
さらに新卒から大きな病院で働く人もいれば、単科のクリニックだったり、訪問看護だったり、働き方もたくさんあります。
そして、あなたがこれからどんな道を進んでいくのか、何を経験して勉強していくのかの選択肢もたくさんあるのです。
5年後の自分が何をしているか、想像できません
たくさん選択肢があることは、きちんと考えて進まなければ遠回りになる可能性もあるということです。
あなた自身が進みたい方向を迷って、いろいろな事を経験をすることは決して無駄にはなりません。それでも、迷って決められないままボンヤリ過ごす時間はもったいないですよね。
ロールモデルを持つことは、あなたの目指す将来像を具体的にしてくれますよ
ロールモデルとは何か
英語で「ロール」は役割、「モデル」は見本・お手本を意味します。
つまり、あなたにとって『こうなりたいと思えるような人、目指す存在』のことです。
看護師の世界だけではなくて、一般の会社でもロールモデルとなる先輩がいることで、若い社員の目指すべき道や、やるべきことが明確になって、成長の加速を期待できるとされています。
ロールモデルを持つメリット
向上心を維持できる
ロールモデルが実在の人物なら、その人に対する尊敬の気持ちがあるので、いつまでも「自分はまだまだだ。あの人には追い付けない」と思うはずです。
たとえば立派な技術の職人さんにインタビューをしている映像で、こんな言葉を聞いたことがありませんか?
「自分なんか、師匠に比べたらまだまだです」
何歳になっても、何年たっても、師匠の技術や心意気には追い付けないと考えられるからこそ、今の技術に満足せずに努力を続けることができるのだと思います。
私にもロールモデルとなる師長がいますが、その師長はすでに10年近く前に定年退職して今は孫の面倒を見る優しいおばあちゃんになっています。
それでも私自身が師長となってからいつも心で思い浮かべるのは、10年以上前のその師長さんの姿です。あの時の師長の年齢に追いつくころに、私も同じくらい成長していたいと思いながら日々働いています。
迷った時の行動の指針になる
判断に迷った時は「あの人ならどう判断するかな」と考えて決めています
迷ったとき、悩んだときに「あの人なら、どうするだろうか。何と言うだろうか」と視点を変えて考えることができます。
その人の言動を思い出し、その考え方をなぞるようにして、自分の状況や行動を改めて考え直すことができるのです。
普段の自分だけの考え方ではないので、いつもよりも視点を上げて、視野を広げて考えようとするという効果も期待できます。
看護の世界では、患者さんへ倫理的な配慮が必要な場面や、ご家族対応に注意を払う必要がある場面が多いです。そういう時にロールモデルが力を発揮します。
「私だったら断るけど、あの先輩だったらきっとこうするだろうな」と考えられれば、倫理的に問題のある行動をとることが避けられるはずです。
他にも患者対応が難しい時には>>看護師は女優?!|感情をコントロールしてストレスのない働き方を!と言う記事も参考になります。
ロールモデルのような対応のために、自分の感情をコントロールすることも覚えましょう。
努力の方向性がはっきりする
漠然と「いい仕事をしたい」「高い能力を身に付けたい」と思うより、具体的なお手本がいた方が、「このような仕事をしたい」「あの人のような能力を身に付けたい」とイメージできるようになります。
急変対応をしている主任はカッコいい!
あんな風に対応できるようになりたいな
目の前にお手本となる人物がいて、その人に近づくためにはどんなことをすればいいのかが具体的に思い浮かべられれば、何を努力するか考えやすいですよね。
主任さんは私くらいの時、どんな勉強をしていましたか?
身近な人であれば本人に直接聞くことも出来るので、同じ参考書を買ったり、同じ研修に参加したりして近づく努力をすることができます。
効率的にキャリアアップできる
具体的なロールモデルがいれば、自分が何をすべきか、どこを目指すかが明らかになります。つまり、現在地から目的地までの「地図」を手にするようなものです。
地図を手に入れられればキャリアの方向性が定まり、より効率的にスキルアップできるようになります。
回り道せず一直線に目指すキャリアに向けた経験を積んでいくことできますよね。
成長の第1歩は自分を客観視することでしょう。ロールモデルがあることで現時点での自分の問題が意識づけされ、成長につながっていくはずです。
ロールモデルのつくり方と、使い方
では実際に、ロールモデルを活用する方法を解説します!
ロールモデルを設定する
まずは、ロールモデルを決める必要があります。
まずは自分の理想像の整理から始めてみましょう
自分の仕事上での立場や専門分野などで、将来どんな自分になっていたいか想像してみることが第一歩です。
たとえば、「急性期の現場でバリバリ活躍していたい。5年後には専門的な知識を身につけて、資格を取って、現場で活躍していたい」というような、ざっくりとした形でもいいので、将来像を考えてみてください。
そこから、自分の身近な人たちの中で、自分の理想像に当てはまっている人がいるかどうかを考えます。
出来れば身近な存在から見つけるのがベストです。普段から話が出来る関係なら、直接アドバイスをもらえる機会も増えて、成長スピードも速まります。
ただし、もし身近にモデルとなる人がいなければ、院内の他の先輩や、他の病院の有名な人でも構いません。
普段から他部署の人とも積極的にコミュニケーションをとったり、病院を離れて勉強会や研修に参加するなど、人脈を広げておくことが、より具体的で理想に近いロールモデルを見つけるために大切です。
複数の人の良いところを組み合わせて、自分だけのロールモデルを作ってもいい
周囲の人を考えてみたけど、自分の理想の人は見つかりません
実は最近は、そういう意見も多いようです。
私たちの親の世代には、みんな身近な人をロールモデルにしていました。「尊敬する人は?」と聞かれて「うちの上司」とか「社長」と答える人もいたのです。しかし残念ながら、今ではおそらくあまりいないでしょうね。
いつの頃からか、多くの人が「社内に見本となるような人がいない。憧れられるような人がいない」と感じる状態になってしまったようです。
だからロールモデルが大事だと言っても、簡単には見つからないので工夫が必要です。
たとえば一人の人をロールモデルにするのではなく、複数の人の『いいとこ取り』をしてみましょう。
そもそも自分の目指す姿を一人が満たしている方が珍しいですよね。「リーダーシップならA先輩」「患者・家族対応はB先輩」「知識の豊富さや技術ではC先輩」という感じでパーツを組み合わせて、オリジナルのロールモデルを作ってしまうのも一つの方法です。
女性の看護師が、あえて男性の先輩をロールモデルにしてみることで視野を広げることもできます。ロールモデルを一人に絞ることにこだわる必要はないので、まずは場面ごとに、自分の理想像に近いロールモデルを一人ずつ集めていきましょう。
ロールモデルをよく観察して、行動を分析する
次にすべきことは観察と分析です
自分で選んだロールモデルの普段の行動について、出来るだけ細かく観察をしましょう。そしてその行動についてしっかりと分析をすることで、ロールモデル設定の本当の効果があらわれます。
ポイントは、ロールモデルの行動や、行動の「根拠と結果」をはっきりと見極めることです。
たとえばリーダーシップに優れたA先輩が後輩看護師に何か指示を出しているとしましょう。
その際にA先輩が具体的にどんな伝え方で、どんなタイミングで、誰に対して指示を出しているのかを観察しましょう。
また、何のために今その指示を出したのか、その結果どのような看護につながっているのか、そこまで観察したり考えたりして、A先輩の行動を分析することが大切です。
ロールモデルの行動をマネする
行動の分析が出来たら、あとはそのロールモデルを参考にして、様々なことをマネをしてみることです。
ロールモデルのA先輩がリーダー業務をするときに、様々な工夫をしながら後輩に指示を出すことで、後輩への伝達ミスや処置忘れなどのインシデントを未然に防いでいることが、行動の分析で分かったとします。
そうしたら、それをマネしない手はありませんよね。
ロールモデルをただ眺めて観察しているだけでは意味がありません。
ロールモデルの分析結果を元に、マネをすることから自分の行動を変えてみることが大切です。
まとめ
今回は、看護師の成長に効果的な『ロールモデルの設定』について解説しました。
「いろいろ学びたいけど研修や資格がたくさんあって、何から学べばいいか分からない」という人におススメなのが、自分だけのロールモデルを持つことです。
ロールモデルとは、あなたにとって『こうなりたいと思えるような人、目指す存在』のことです。
ロールモデルを持つことのメリットは以下の4つです。
- 向上心を維持できる
- 迷った時の行動の指針になる
- 努力の方向性がはっきりする
- 効率的にキャリアアップできる
ロールモデルのつくり方と使い方は、以下の通りです。
- ロールモデルを設定する
- 複数の人の良いところを組み合わせて、自分だけのロールモデルを作ってもいい
- ロールモデルをよく観察して、行動を分析する
- ロールモデルの行動をマネする
「お手本」となるロールモデルを持つことで、自分のやりたいことや努力する道筋がはっきりと見えてきます。
『このままここで看護師を続けていいのかな』と悩んだり、『モチベーションが上がらない』というときには、自分の理想像を考えてみてください。
自分は将来どうなりたいのか、そのためにどのような努力をするのか。
ロールモデルをもって、なりたい自分に近づいてもらいと思います。
他にも、看護師の仕事で悩んだときには【看護師の悩み】仕事がつらいと思った時に読んでほしいの記事も参考にしてみてください。
この記事が少しでもあなたの役に立てればうれしいです。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。