こんにちは、はるです。
私は地方病院で看護師長をしています。
今回は、看護師が書くレポート・論文の書き方を解説します!
看護師として働くうえで、レポートの提出を求められることがありますよね。
私のところは毎年、看護研究を取り組んで発表しています
看護研究に取り組んでいると、分かりやすい論文を書けるスキルも重要です。
今回は、看護師が上手にレポートや論文を書くためのポイントをまとめますので、参考にしてください。
文章が書けない、伝える言葉が思いつかない人におススメの本があります。
私は本屋さんでこの本を見かけて、タイトルが自分の悩みにドンピシャですぐに購入しました。
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論文・レポートってどういうの?
論文・レポートには2つの種類があります!
この2種類は、文章の組み立て方が違います。
1.自分の考えを論理的に主張するレポート
具体的な文章の構成は以下のようになります。
- はじめに
- 本文
- 結論
はじめに
レポートの内容や、問題の背景、レポートにまとめる意義を書きます
たとえばレポート用紙1枚のボリュームでレポートを書く場合、『はじめに』は3行程度にしましょう。
本文
レポート用紙1枚のボリュームの場合、『本文』は30行程度が良いです。
ここは問題に対する自分の考えや、その主張をする理由を書きます。文献を使って自分の考えを後押ししましょう。
結論
レポート用紙1枚のボリュームの場合、『結論』は3行程度です。
『はじめに』で問題提起したことに対する、自分の答えを簡潔にまとめて書きましょう。
2.調べたことをまとめて報告するレポート
具体的な文章の構成は以下のようになります。
- 目的
- 方法
- 結果
- 考察
用語の定義をする場合は『はじめに』の次に書きましょう
レポートと感想文はココが違う!
書き方が分かっていないと、レポートではなく感想文のような文章になってしまいます。
レポートや論文は、感想文とは違って、事実に基づいた主張をまとめる必要があります。
レポート・論文と、作文の違いは以下です。
レポート・論文 | 作文・感想文 | |
求められるもの | 問題に対する回答 | 個人の体験談 |
主張の内容 | 事実に基づいた主張 | 個人的な体験から導いた主張 |
文章の構成 | はじめに、本文、結論 | 起承転結 |
内容 | 客観的な証拠と論理的な推論をまとめる | 自分の感じたことや思ったことを書く |
論文やレポートの一番の特徴は、文章が『問い』から始まって『答え』で終わらなければいけないというものです。
つまり最初に問題を提起することから始まって、本文で考えを述べて、その解決や答えを示すという一連の流れがなければレポートや論文とは言えないのです。
この問題提起の部分を『はじめに』で書いて、様々な文献や事実を上げて考えを述べる部分が『本文』で、問題に関する解決や答えを示す部分を『結論』で書きます。
「~と思う」や「~と感じた」という表現はレポート・論文ではNG!
「推測する」「観察する」という表現にしましょう
レポートを書くときの基本の形
レポートや論文を書くときには、基本的な形があります。「内容」と「書き方」の二つの要素を勉強しておけば、良いレポートや論文が書けるのです。
詳しく説明しますね。
誰に対して書く文章なのかをはっきりさせましょう。
これを何のために書くのか、レポートを書く目的を明確にするのです。
「どんな効果や影響を期待して書くのか」を考えます
そして「どこに発表するのか」「誰に見せるのか」も考えておきましょう。
1.まずタイトルをつけよう
論文・レポートにはタイトルが必要です。
内容が伝わりやすくて、読む人の興味を引けるような、素敵なタイトルをつけましょう。
テーマの書き方に決まりはありません
みんなの目を引く魅力的なタイトルを考えて!
タイトルはレポート・論文の一番最初に、大きな字で書きます。
2.内容がブレないこと
一つのレポートの中で、いろいろな話題を出すと内容がブレてしまいます。話題を絞り込んでおきましょう。
どうしても書きたいことが複数ある場合は、レポート自体を分けて、話題ごとに別のレポートにしましょう。
3.一つの段落に一つのテーマ
1パラグラフ1テーマの法則です!
一つの段落(パラグラフ)では、一つのテーマについて書くようにしましょう。
同じ段落の中に色々な話題について書くと、読みにくく、分かりにくい文章になってしまいます。
話題が複数になってしまう時には、文章を短く終わらせて、うまく段落を区切りましょう。
4.感想を書かないこと
「~だと思った」「~が面白かった」などの文章は、感想文や作文です。
レポートや論文でこのような表現を使わないように気をつけましょう。
特に『考察』にこういう文書を見かけるので、注意してくださいね。
どうしても書きたい時は『感想』という項目を作りましょう
※ただし基本的には、感想は必要ないことを覚えておきましょう。
5.事実と自分の意見を分けよう
客観的な事実については「~である」という断定的な表現で書きましょう。
それに対して自分の意見は「~と予想される」などのように、読んでいる人が意見だと分かる書き方にしましょう。
6.全体の形を整える
レポート・論文の全体が、しっかりと文章として整っていると内容が引き立って見えます。
表現を統一したり、物の名前の呼び方を統一して、全体を整えましょう。
語尾は「ですます調」よりも「である調」が良いです
レポート・論文では、「はじめに」や「結論」は一つの段落で書きます。
本文は、話題の流れに沿っていくつかの段落に分けて書きます。
段落は200文字くらいをメドに改行して作りましょう。
一つの段落は5行くらいのイメージです。
あまり長くならないようにきをつけてください。
一つの段落に書くのは、一つのテーマです。
そのため、小さな見出しをつけて1章、2章、3章とテーマを分割して並べていくと、全体のつながりが見えて読みやすくなります。
『はじめに』の書き方
レポート用紙で2~3枚くらいのレポート・論文なら「はじめに」です良いですが、30枚以上のような大きな論文のときには「序論」という表現にしましょう。
「はじめに」はレポート全体の紹介です。
- どんなテーマについて書くのか
- このテーマについて書くことがなぜ必要なのか
- 何を明らかにするのか
- 何を意図しているのか
- この問題についてまとめる理由、背景・経緯などの簡単な説明
- どのような問題意識を持っているか
- どのような結論に至ったか
- どのように議論していくのか
こういう内容を簡単に紹介します。
この「はじめに」を読めば、何を考えてこのレポート・論文を書いたのが伝わるようにするのです。
「はじめに」を読めばレポート全体の評価がある程度は分かります
この「はじめに」で結論を明らかにしておきます。
普通の文章では結論を最後に書きますが、レポート・論文では、最初に仮設と結論まで書いてしまいます。
推理小説のように、結果がどうなるのかをワクワクして読むのではなく、先に結論を示して、その結論にどうやって行きついたのかの過程を読むのがレポート・論文なのです。
私の結論はこれである。こうした方法論を用いて、こういう結論に至った。
こんな風に書くのが『はじめに』です。読む人は最初に結論を知ったうえで、どう考えてこの結論に至ったのかを検証しながら読みすすめるのです。
「本文」の書き方
「本文」は、自分の主張したいことに沿った証拠を示していく部分です。
小見出しを自分で作りましょう
1章では、解決する問題を示します。
選んだテーマについて、最初に文献などを参考にした一般論を書いて、その上で自分がこのレポートを書く必要性や、レポートの位置づけをしましょう。
つまり課題や問題に対する自分の考えに「レポートの必要性」を上乗せすることで、値打ちをつけるのです。
2章では、まず問題に対する現象を示します。
「問題に対してこうあるべきである。しかし現状は・・・」という感じで展開する。
その上で、資料やデータなどを整理して示していきます。
そして3章では、1章の問題と2章の資料を結びつけます。
レポート・論文では、自分が訴えたいメッセージを大胆に展開しなくてはいけません。
次から次へと証拠を繰り出して示し、自分の議論をどんどん進めていきます。
ここで使われるのは自分で調べた資料や、調査結果、実験結果や、参考文献からの二次資料などです。
自分の主張に説得力を持たせるためには、独りよがりの議論にならないことが大切です。そのためにも「私は~と思う」のような表現を使うことを避ける必要があります。
「私はこう思う」という表現は、客観性がないので禁物です!
重要なのは客観性・実証性・論理一貫性です。
論理が飛躍したり、証明していない結論に飛びついたりしてはいけません。
本筋から枝分かれした小さな話題に囚われてしまい、話があちこち飛んでしまうことにも注意しましょう。
また、本文の途中で自分の主張に関係のない余分な情報を入れないようにしましょう。
テーマに関連する情報があると全部入れ込んでしまいたくなりますが、『自分の主張に沿ったもの』だけを書くことが大切です。
余計な情報を入れずに、主張に沿った証拠だけを次々に繰り出すと、引き締まったカッコいい論文になりますよ。
「結論」の書き方
『おわりに』でも良いですよ!
結論を書くのにはポイントが3つあります。
- 本文で展開した内容を抽象化して簡単にまとめる
- はじめにで示した問題に答える。もしくははじめにで示した主張を再確認する
- 残った疑問や、取り上げられなかったが今後の課題をしたい問題を示す
結論では文献は使いません。
何が分かったのか、何を提案するのか、読む人に対する簡単なまとめを書きます。
「~であるから、こう考える」のような表現で結論を導き出しましょう。
レポート・論文を作る時に参考にした本や雑誌などは全て「参考文献」として記します。そうでないと盗作とされてしまうこともあるので注意しましょう。
その際には書くのは、以下の内容です。
- 著者または編者
- 訳者
- 書名
- 出版社名
- 出版年
このほかにも、引用した場合はページ数も入れます。
統計資料を使ったり、表や図を使う時にも、そのもととなる資料を示す必要があります。
またホームページを参考にしたり、そこから引用した場合には、URLとページを開いた年月日を書きましょう。
新聞などから引用することも可能です。
いわゆる推敲(すいこう)です。
文章を読み直して、読みやすいように書き直して、文章を整えてより良くしていきます。
文章を整えるには、推敲が大切です。
私は書き上げた後、2~3日あけて読み返して推敲します
せめて一晩は置いてから読み直しましょう。
時間を空けて読み直すと、思い込みをなくして客観的に文章を見ることができて、間違いを見つけやすいという利点があります。
頭が冷えて冷静になっているので、感情に流されず、質の高い文章に書き換えることができます。
レポート内容の考え方
課題を絞りこんでいきます。
様々な視点から、問題が何なのかを考えるのです。
- 5W(Aは何か、誰が行うか、いつからか、なぜか、どこで行うか、どうやってするか)
- Aは本当なのか
- 現状はどうなっているのか
- Aのほかに関連することは何か
- 具体的な例は何か
いろいろな、多角的な視点から問題を考えて、課題を見つけて、絞り込んでいきましょう。
そして、なぜその問題を今レポートにまとめる必要があるのか、重要性を考えて書くことがポイントです。
ここで先に、結論を考えておきます。
問題に対する結論を先に書いて、その理由を本文で証明していくのです。
問題:新人の離職率が高い
結論:教育体制整備の必要性
つぎに、文献を使いながら理由を説明していきます。
理由は、なぜさっきの結論になるのかの根拠です。
この理由の部分が、一番大切なところです。読む人が納得するような理由を書くことが大切です。
理由が間違いないことを「事実、事例、データ」で示すと、説得力が高まります。
読んでいる人に、理由が間違いないものであることを証明するのです。
この理由と事実は、それぞれ2つ以上あると、より説得力が高くなります。
文献の使い方
自分の主張の説得力を高めるために、文献から引用します。
引用というのは、他の人が公表した情報を借りて、自分のレポート・論文に書き加えることです。
ただし引用が多すぎると文献をまとめただけの文書になってしまって、レポートというよりレジメになってしまいます。
1.引用のルール
- レポート・論文の中で、どの文章が引用で、どの文章が自分の文章なのか、読む人がはっきりと分かるように書くこと
- 自分の文章がメインで、引用する文章がサブになっていること
- 引用した情報が、どこから引用したのか全て書くこと
これらのルールをしっかり守って引用する必要があります。
2.引用した文の書き方
1)・・・について、村田ら1)によれば、・・・・となる。
2)田中3)は・・・・・と述べている。
3)・・・について、藤田(2011)は・・・述べている。
4)・・・・が確立された(佐藤、2008)。
このように、引用文の書き方は色々あります。
どの書き方を使ってもOKですよ
3.孫引きって?
孫引きとは、他の文書に引用されたものを、さらに引用することです。
できれば、元の文献にさかのぼって調べて、そこから引用する方が望ましいです。堅苦しくないレポートなら、孫引きでも大丈夫ですが、できれば避けた方がいいでしょう。
孫引きにならないための記載方法としては、『木村5)は、マクレガーのY理論について「・・・・」と示している』と書く方法もあります。
5.引用文献の表記方法
論文の提出先の規定に従いましょう
基本的には、提出先の学会規定などで規定されいる場合は、そのルールに従ってください。
図書
出版年は、その版が出版された最初の年を書きます。原稿のタイトルは、そのページの主要なタイトルを書きます。
それぞれの項目の途中は「,(カンマ)」で区切り、文章の最後は「.(ピリオド)」で終わります。
1)単行本の場合
番号 著者名 『書名』 巻数、編者名、訳者名、発行書名<文庫・新書>、刊行年、引用ページ
例)(1)諏訪茂樹,『看護に活かすリーダーシップ』,医学書院,2011年,22-23ページ.
2)雑誌・新聞記事などの場合
番号 執筆者名 「論文・記事名」 訳者名、『雑誌・新聞名』巻号数、発行所名、刊行年、引用ページ
例)(1)二見茜,「増加する外国人患者への対応」,『Nursing BUSINESS』186号,メディカ出版,2020年,36-37ページ.
翻訳書
例)Benner P.(2001),Excellence and Power in Clinical Nursing Practice,井部俊子(訳), 2005年,ベナー看護論 新訳版 初心者から達人へ,医学書院.
学術雑誌
ウェブサイト
図や表
図、表、グラフはそれぞれに通し番号とタイトルをつけます。
表の場合は、表の上にタイトルをつけ、図とグラフは下につけましょう。
全体を整える
1.語尾を統一する
文章の語尾を、「です・ます調」か、「である調」か、統一しましょう。
レポート・論文の場合は、「である調」の方が向いています。
2.主語と述語が離れすぎないように
たまに、主語がない文章を見かけます
主語がきちんとあるか確認しましょう
主語と述語をはっきりさせて、しかも離れすぎないように注意しましょう。
一つの文章の中で、たくさんのことを言おうとしないのがポイントです。
ワンセンテンス・ワンメッセージですね。一文を短く、分かりやすくしましょう。
3.主語と述語の「ねじれ文」に注意する
主語と述語のねじれに注意しましょう。
「私の目標は・・・で、・・・としてやっていくのは難しいと思う」のように、話し始めと話おわりがズレてしまうと、何の話か分からなくなります。
主語から導かれる話の流れが、きちんと述語まで続いているかを確認しましょう。
4.句読点をきちんと使う
句読点を上手に使えると、読みやすくて分かりやすい文章になります。どこに読点「、」を打つかで意味が変わってきます。
読む人が意味を誤解しないように、読みやすいように、考えながら句読点を使いましょう。
5.改行は早めに行う
改行を早めに行うと、文章にスピード感がでます。対象である場所や状況、時間帯の違う話題に移る時には、積極的に改行しましょう。
考えや論点が変わる時にも、改行を入れると分かりやすいです。
200字ほどをメドに改行しましょう
6.接続詞を使いすぎない
文と文、語句と語句をつなぐときに使う接続詞ですが、たくさん使ってしまうと文章がたどたどしく見えます。
接続詞がない方が、リズムが良くて歯切れの良い文章になります。
必要な時に効果的に使いましょう
- 順接
うしろに当然の結果が続きます
「そして」「だから」「そこで」「すると」 - 逆接
逆接の接続詞は、うしろに予想外の結果や展開が続きます
「しかし」「だが」「けれど」「ところが」 - 並列
前の文と同じ内容を続けます
「また」「および」「かつ」 - 添加
前の文に付け加える内容を書きます
「そして」「さらに」「そのうえ」 - 対比・選択
前の文と後ろの文を比べたり、あれかこれかの二者択一の時に使います
「または」「もしくは」「あるいは」「さて」 - 説明・補足
前の文で述べられていることに対して、後の文で説明や補足をします
「つまり」「すなわち」「なぜなら」 - 転換
次の文から話題が変わることと気に使います
「さて」「ところで」「では」
7.ダラダラ長い文章にしない
一文が長くなると、読みにくいです。ダラダラと書かないのが、読みやすい文章の鉄則です。
長い文章では主語や述語などが複雑になって、読む人が何の話か分かりにくくて混乱します。
一般的には40文字くらいまでで収めると良いでしょう。
まとめ
今回は、看護師が上手にレポートや論文を書くためのポイントをまとめました。
文章を上手に書くには、とにかくたくさん書くことです。
まずは書いて、上司や先輩にチェックしてもらいましょう。
ほかにも、看護師の仕事の悩みをまとめています>>【看護師の悩み】仕事がつらいと思った時に読んでほしい
良かったら読んでみてください。